ブリュージュ歴史地区

Historic Centre of Brugge

ブリュージュ歴史地区(ブルッヘ歴史地区)の概要

ベルギー北部の古都、ブリュージュ。毛織物工業と織物取引の中心地で、13世紀後半からヨーロッパ有数の商業都市として繁栄しました。

内陸にありながら市街を運河が張り巡らされ、赤レンガの家々が立ち並ぶ美しい景観から、「北のヴェネツィア」、「天井のない美術館」とも呼ばれています。

今も中世の街並みがそのまま残されているブリュージュ歴史地区は、2000年に世界文化遺産に登録されました。

歴史

古都ブリュージュは、9世紀頃から運河を通じて北海とつながり、交易都市として発展し始めました。
1252年にはハンザ都市となり、ヨーロッパ初の証券取引所も誕生しました。
それから14世紀にかけてハンザ同盟の中核都市として、毛織物業の交易などで隆盛を極めます。

しかし、15世紀後半になると、北海から流入する土砂で運河が埋まり、船の航行ができなくなると、ブリュージュは急速に衰退してしまいました。一見マイナスな出来事ですが、このことこそ、中世の街並みがそのまま残される要因となったのです。

ブリュージュが再び脚光を浴びるのは19世紀末。ベルギー出身の詩人・作家のジョルジュ・ローデンバックの小説『死都ブリュージュ』が発表されたことがきっかけでした。ブリュージュは観光都市として復活を遂げます。

現在でも旧市街の中心にあるマルクト広場には、ハンザ都市特有の階段状の破風がついた商館、聖母聖堂、救世主大聖堂、鐘塔などの建築がほぼ完全に残されています。
ブリュージュ歴史地区は、2000年に世界文化遺産に登録されました。

主要な構成資産

聖母大聖堂

ブリュージュの聖母大聖堂
Onze-Lieve-Vrouwekerk, Bruggeby ArcheoNet Vlaanderen, on Flickr

聖母大聖堂は、13~15世紀にかけて建造されました。その間に、何度も修復を重ねたため、様々な建築様式が混在しています。レンガ製の聖母大聖堂は高さが122mもあり、ヨーロッパで最も高いレンガ建造物です。

ブルゴーニュ公国時代には、シャルル公爵家の礼拝堂となりました。シャルル公爵とその娘のマリー・ド・ブルゴーニュの霊廟があります。

聖母子像
Photo by Jan Smith, on Flickr

聖母大聖堂は、ミケランジェロが大理石で造った「聖母子像」があることでも有名です。
ミケランジェロの彫刻作品がイタリア国外に持ち出されるのは、非常に稀であり、必見です。

聖血礼拝堂

聖血礼拝堂
Basilica of the Holy Blood by Jim Linwood, on Flickr

聖血礼拝堂は、ブルグ広場の市庁舎に隣接しています。12世紀の第2回十字軍でフランドル公がエルサレムから持ち帰った「聖血(キリストの血)の遺物」が納められていることから、この名で呼ばれています。

12世紀頃に建築されたもので、1階は、ロマネスク様式で、聖バシリウスに献納された納骨堂。2階は、15世紀末から16世紀にゴシック様式に改築された礼拝堂となっています。

毎年春にキリスト昇天祭が開催され、聖血が入った箱を掲げて歩く「聖血の行進」は、ブリュージュで最大のイベントです。

聖サルバトーレ大聖堂(救世主大聖堂)

聖サルバトーレ大聖堂
St Salvatore Cathedral Bruges by george reader, on Flickr

聖サルバトーレ大聖堂は、ブリュージュ最古の教会。塔の高さが99mもある壮大なゴシック様式の外観は、大変見ごたえがあります。その建立は10世紀に始まりますが、建物のほとんどは12~13世紀に建てられたものです。

中に入ると美しいステンドグラスや祭壇、説教壇、聖歌隊席、大きなタペストリーなど見どころが盛りだくさん。パイプオルガンの生演奏が始まると、荘厳な雰囲気に包まれます。

付属博物館には、初期フランドル派のディルク・バウツやヒューゴ・ヴァン・デル・ゴースの絵画や家具調度品などが展示されています。

マルクト広場

マルクト広場
Photo by nclint, on Flickr

マルクト広場は、ブリュージュの街の中心にあります。市庁舎、鐘楼などの歴史的建造物、中央には、14世紀はじめの市民蜂起の英雄ヤン・ブレイデルとピーター・ド・コニングの像が建っています。

広場を囲むように建っているギルドハウスは、ハンザ商人の富の象徴であり、カラフルでギザギザとした切妻屋根が特徴です。ギルドとは商人たちの互助組合の事で、各ギルドハウスには、職種ごとのシンボルが飾られています。

現在のギルドハウスは、1階部分をレストランやショップに改装しているものも多く、観光客にも大変人気があります。

ブルージュの鐘楼

ブルージュの鐘楼
Belfry of Bruges by Siniša Ciglenečki, on Flickr

高さ83mを誇る鐘楼はマルクト広場にあります。47個のカリヨン(組み鐘)があり、その音色の美しさは
ヨーロッパで有名です。

中世の人々の「自由と権力のシンボル」として建てられたもので、13世紀から基礎部分の建設が始まり、完成したのは15世紀。鐘楼には登ることができ、366段の螺旋階段を登りきれば、ブリュージュの街並みが一望できます。

この鐘楼は、「ベルギーとフランスの鐘楼群」としても世界遺産に登録されています。

ベギン会修道院

ベギン会修道院
Photo by Big Dataw Point, on Flickr

ベギン会修道院は、1245年フランドル伯爵夫人によって創設されました。ベギン会とは、12世紀にベルギーで、女性の自立支援のために設立された共同体です。神に仕える尼僧とは違い、女性たちが自立的な生活を営むための場所でした。

木々に囲まれ自然豊かな美しいところですが、中に入ると空気が変わり、聖域のように感じられます。
周囲をレンガの壁で囲まれた中庭なども相まって、外界と隔てられた印象を受けます。

この修道院は、「フランドル地方のベギン会修道院」としても世界遺産に登録されています。


国名 / エリア ベルギー / ヨーロッパ
登録年 2000
登録基準 文化遺産 (ii) (iv) (vi)
備考 ■関連サイト
Historic Centre of Brugge(UNESCO)

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