原爆ドーム

Hiroshima Peace Memorial (Genbaku Dome)

原爆ドーム
写真提供:広島県

原爆ドームの概要

原爆ドーム

広島市中区大手町、太田川・元安川分岐近くにある原爆ドームは、原爆の惨禍の象徴として保存される唯一の建物です。1913-14年にチェコスロバキアのヤン・レッツェルによって設計され、1915年に広島県物産陳列館として建設されました。銅板の楕円形ドーム(長軸約11m、短軸約8m、高さ約4m)をもつ3階建ての煉瓦造の建物で、のちに広島県立商品陳列所、広島県産業奨励館と名前を変え、地域の物産品の展示や、美術展覧会、博覧会の開催に利用されました。

原爆ドームと爆心地の位置は距離約160m、高度約600mしか離れておらず、当時館内にいた人全員が即死していたことが分かっています。建物も大破しましたが、垂直に爆風が吹き込んだため、中心部は奇跡的に倒壊がなく、今現在でもその姿を残しています。

広島に投下された原爆

広島に投下された原爆

原爆の製造は1942年からマンハッタン計画として推進されました。1945年7月16日、ニューメキシコ州のアラモゴード実験場で人類史上初の核実験が成功し、その後の広島への原爆投下に繋がりました。

ウラン235を使用したコードネームLittle Boyで知られる原爆(長さ約3m、直径約70cm、重量約4t)が1945年8月6日午前8時15分にアメリカ軍のボーイングB-29爆撃機エノラ・ゲイによって広島に投下されました。約20万人の人が熱線や放射線障害で死亡し、今でも多くの人が原爆症で苦しんでいます。

世界遺産登録の経緯

戦後、復興が進むにつれ「悲惨な思いが蘇る」と取り壊しを求める声も挙がりましたが、1953年に原爆ドームは広島県から広島市に譲渡され、1966年7月に広島市議会が原爆ドームの保存を決議しました。保存工事費用は全額募金で賄うこととなり、当時の浜井信三市長を先頭に街頭募金活動が実施され、1967年に保存工事が完了しました。

その後、原爆ドームの世界遺産リストへの登録を求めた市民運動が起こり、1995年6月国史跡に指定され、翌年の第20回世界遺産委員会メリダ会議で世界文化遺産に登録されました。原爆ドームは、人類の犯した悲惨な出来事を二度と繰り返さないための戒めとなり、核兵器の惨禍や恐ろしさを伝えていることから、「負の世界遺産」とも呼ばれています。「ノーモア・ヒロシマ」のスローガンは今や世界中に知れ渡り、時代を超えて核兵器廃絶と世界の恒久平和を訴えるシンボルとなっています。

観光のポイント

原爆ドーム内は立ち入り禁止です、外からの見学となっています。

ポイント1 ドーム型の鉄骨

ドーム型の鉄骨

ヨーロッパの様式で建設された原爆ドームの壁の一部には煉瓦が残っており、そのモダンな雰囲気を感じ取ることができます。むき出しの鉄骨は見る人に原爆の恐ろしさを生々しく伝えています。

ポイント2 夜のライトアップ

原爆ドーム

原爆ドームが位置する平和記念公園内の敷地は24時間開放しているため、夜間には昼間とはまた違った雰囲気のライトアップされた原爆ドームを見ることができます。

ポイント3 元安橋から見る原爆ドーム

原爆ドーム

元安川と原爆ドームを同時に収め、川の街広島らしい写真を撮影できるビュースポットです。元安川は観光客に人気の遊覧船「ひろしまリバークルーズ」、「ひろしま世界遺産航路定期船」の運航コースとなっています。

周辺のおすすめスポット

平和記念公園

平和記念公園

平和記念公園は広島市中心部の爆心地近くに建設されました。園内には原爆ドームの他、広島平和記念資料館、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館、広島国際会議場などがあります。

平和の鐘

平和の鐘

平和記念公園内の平和の鐘は環境省によって日本の音風景100選に指定されています。鐘の表面に彫刻されている国境線のない世界地図には「世界は一つ」であるという平和への願いが込められており、裏には人の心を写し出す鏡が組み込まれています。

原爆の子の像

原爆の子の像

原爆の子の像は佐々木禎子さん(当時12歳)の死をきっかけに、原爆により失われた子供達の霊を弔う像として建設されました。平和な未来と希望を象徴する少年少女の像が左右に並び、その間には金色の折り鶴を捧げる少女の像が建っています。

原爆死没者慰霊碑

原爆死没者慰霊碑

原爆死没者慰霊碑には「安らかに眠ってください、過ちは繰り返しませぬから」と刻まれており、広島市の平和都市としての再建が誓われています。

広島平和記念資料館

広島平和記念資料館

広島平和記念資料館は核兵器の究極的廃絶と世界の恒久平和の実現を世界に訴えることを目的として、1955年に被爆者の遺品や写真を展示する資料館として開館しました。丹下健三により設計された当館は戦後建築として国際的に高い評価を受け、2006年7月には国の重要文化財にも指定されました。事前の受付でヒロシマピースボランティアによる解説を無料で受けることができます。


国名 / エリア アジア / 日本
登録年 1996
登録基準 文化遺産 (vi)
備考 ■関連サイト
Hiroshima Peace Memorial (Genbaku Dome)(UNESCO)

住所:広島県広島市中区大手町1丁目10
時間:年中無休
入館料:なし
※敷地内は立ち入り禁止、外観のみ観覧できます

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