法隆寺地域の仏教建造物

Buddhist Monuments in the Horyu-ji Area

法隆寺

世界遺産に登録された理由

登録された48棟の建造物のうち、11棟が現存する世界最古の木造建築物です。これらは全体のデザインのみならず、細部のデザインにおいても洗練され、芸術的に優れています。また、初期の建造物は6世紀以前の中国と共通の様式上の特色を備え、後の建造物は新しい唐の様式の影響が認められます。このように、「法隆寺地域の仏教建造物」は当時の中国と日本の関係、ひいては東アジアにおける密接な文化交流の証としても大きな価値があります。

世界最古の木造建築でありながら文化交流の歴史を証明している建造物群は、世界的に類例がありません。さらに、木造建築物としてきわめて良好な保存状態です。以上の理由から、1993年に世界文化遺産に登録されました。

構成資産

「法隆寺地域の仏教建造物」は、法隆寺(ほうりゅうじ)と法起寺(ほうきじ)の2つの資産とその緩衝地帯で構成された世界遺産です。全部含めて48棟の建造物が登録されています。所在県は奈良県で、JR法隆寺駅から法隆寺まで徒歩約20分。さらに20分ほど歩いた先に法起寺があります。

法隆寺

法隆寺

法隆寺の敷地は広く、中枢部は西院(さいいん)と東院(とういん)からなり、この両院の間と周囲に子院があります。7世紀、法隆寺は聖徳太子によって建立されましたが、670年に焼失。その遺構は現在の法隆寺境内の地下に残されています。8世紀にかけて再建されたものが現在の法隆寺西院であり、その後、東院や子院が建立されました。登録された48棟の建造物のうち47棟がこの法隆寺にあるため、ゆっくりと見て周ることができます。時間が無い人は、メインの西院と東院を見ておくと良いでしょう。

聖徳太子と深い関わりのある法隆寺は、「鎮護国家の寺」として天皇に手厚く保護されていました。 鎮護国家 (ちんごこっか)とは、仏教には国を守り、安定させる力があるとする思想です。12世紀ごろになると、一般の人々の間でも聖徳太子信仰が広まり、法隆寺に多くの信者が訪れたと言われています。

建造物の中には数多くの仏像や美術工芸品も展示されており、法隆寺は国宝や重要文化財の宝庫になっています。拝観料は、一般1500円/小学生750円で、団体料金や障害者割引があります。拝観時間は時期によって異なるため、旅の前にチェックしておくことをおすすめします。

法起寺

法起寺
Photo by Mith Huang, on Flickr

法起寺(ほうきじ、ほっきじ)は聖徳太子の遺命により7世紀に建立されました。16世紀末に、兵乱によってほとんどの建造物が焼失してしまいましたが、わずかに三重塔のみが残されました。そのため世界遺産に登録されているのも三重塔の1棟のみです。法隆寺に比べて敷地も小規模ですが、拝観料が一般300円/小学生200円と安いため、時間に余裕がある人はぜひ訪れてみてください。

世界遺産登録の経緯

法隆寺地域の仏教建造物
Photo by m-louis, on Flickr

登録された48棟の建造物のうち、11棟が現存する世界最古の木造建築物です。これらは全体のデザインのみならず、細部のデザインにおいても洗練され、芸術的に優れています。また、初期の建造物は6世紀以前の中国と共通の様式上の特色を備え、後の建造物は新しい唐の様式の影響が認められます。このように、「法隆寺地域の仏教建造物」は当時の中国と日本の関係、ひいては東アジアにおける密接な文化交流の証としても大きな価値があります。

世界最古の木造建築でありながら文化交流の歴史を証明している建造物群は、世界的に類例がありません。さらに、木造建築物としてきわめて良好な保存状態です。以上の理由から、1993年に世界遺産(文化遺産)に登録されました。

押さえておきたいポイント

世界最古の木造建築

法隆寺地域の仏教建造物
Photo by m-louis, on Flickr

「法隆寺地域の仏教建造物」の中でも見逃せないポイントは、やはり世界最古の木造建築でしょう。世界最古の木造建築とされる11棟の中でも、法隆寺西院の金堂・五重塔・中門・回廊と、法起寺の三重塔は優れた意匠をもっているとされます。

法隆寺西院では回廊の中に、東は金堂・西は五重塔というように聖域の中枢部を左右対象とした構成とする伽藍配置(寺院の建物や塔の配置)がなされています。伽藍配置は世界的にも珍しいため、中門から見える世界最古の木造建築物による伽藍配置の景色を必ず見ておきましょう!

飛鳥時代の仏像

飛鳥時代の仏像
Photo by raccoflickr, on Flickr

法隆寺の金堂や大宝蔵院には、飛鳥時代以来の多くの仏像が残されています。特に飛鳥時代は聖徳太子が生きた時代であり、当時に作られた仏像や美術工芸品を目にすることができます。時を超えて聖徳太子と同じ景色を見ることができると考えれば、是非とも目にしておきたいポイントです。

飛鳥時代の仏像としては、釈迦三尊像、薬師如来像、四天王像などがあります。それぞれの仏像には作られた意味があり、時代の背景と共にそれらを見て周るのも面白いでしょう。中には聖徳太子と等身の救世観音菩薩立像(くせかんのんぼさつりゅうぞう)があるなど、より歴史を身近に感じられる像もあるのでぜひご自分の足で探してみてください。


国名 / エリア アジア / 日本
登録年 1993年
登録基準 文化遺産 (i) (ii) (iv) (vi)
備考 ■関連サイト
Buddhist Monuments in the Horyu-ji Area(UNESCO)

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