バース市街

City of Bath

バース市街の概要

バース市街

バース市街はイギリスで唯一天然温泉が湧き出る街で、風呂(Bath)の語源になったと言われる街です。ローマ人がローマ式の大浴場や神殿、バース修道院などを建設し、保養地として繁栄しました。5世紀に一旦衰退しますが、18世紀に上流階級の保養施設として人気が高まり、ザ・サーカスロイヤル・クレセントなどの集合住宅が建設され再び発展。2000年以上の歴史をもつバースは、1987年に街全体が世界文化遺産に登録されました。

歴史

バース市街

バースはもともと「アクア・スリス」と呼ばれていました。ここには紀元前から温泉が存在し、先住民族のケルト人が居住しており、この地域の温泉は「神々と交流できる神聖な地」として信仰の対象にしたとされています。温泉場にはケルト人が崇拝していた女神スリスの神殿が建てられていました。

紀元前1世紀のローマ帝国時代に、ローマ人によって水風呂やスチーム風呂を完備した大浴場が建設され、温泉保養地として繁栄します。5世紀になり、ローマ人がグレートブリテン島から撤退したことによって温泉施設は放置され、アクア・スリスは衰退しました。続けて6世紀ごろに起こった洪水によって、温泉施設は土に埋もれてしまいます。675年に、ベネディクト派の修道院としてバース修道院が建設され、町は再建されますが再び衰退。しかし、湧き出る温泉は利用され続け、アクア・スリスは温泉を意味する「バース」と呼ばれるようになりました。

18世紀のジョージ王朝時代に、飲泉ブームが起こりバースは温泉都市として活気を取り戻します。上流階級の保養施設として富裕層が集まり、ザ・サーカスやロイヤル・クレセントなど集合住宅の建設が進みました。

必見ポイント

ローマ浴場博物館(ローマン・バス)

バース市街

ローマ浴場博物館(ローマン・バス)は、バース市街の観光で外せない場所。ローマ時代の温泉施設で、6世紀ごろに土に埋もれ、1880年に発見された遺跡で、当時の面影を残しています。今でも温泉が湧き出ていますが、現在は博物館として公開されているため入浴することはできません。しかし、飲泉口があるので飲泉する事が可能です。

この博物館には、かつての温泉施設を復元した模型も展示されていたり、ライトアップされたりと見どころがたくさんあります。

バース修道院

バース修道院
Photo by Elizabeth Jamieson, on Unsplash

現在はバース寺院と呼ばれています。バース寺院はもともとベネディクト派の修道院として建設され、1090年にロマネスク様式の大聖堂として再建されましたが、15世紀にチューダー朝様式で再建されます。しかし、16世紀にヘンリー8世による修道院解散令によって荒廃(こうはい)し、17世紀に修復されて現在の形となっています。

内部には垂直式ゴシック建築が用いられており、バースストーンで作られた扇状ヴォールト天井や、数多くのステンドグラスに彩られた美しい建造物です。

ロイヤル・クレセント

ロイヤル・クレセント
Photo by PapaPiper, on Flickr

バース市街のシンボルとも言えるロイヤル・クレセントは、上流階級の別荘として建設されたパラディオ様式の集合住宅。1767年に建築家のジョン・ウッド(息子)によって建設が始まり、7年後の1774年に完成しました。クレセントとは「三日月」を意味し、30棟の大邸宅が三日月様の弧を描いて建設されており、バースストーンを使った114本のイオニア式の柱が美しい建造物です。

建物の東端(1番地)は、ナンバー・ワン・ロイヤル・クレセントと呼ばれ博物館として開放されており、ジョージア王朝時代に暮らしていた貴族の優雅な生活を垣間見る事ができます。15・16番地は現在、ホテルとして利用されており世界遺産に宿泊することが可能です。その他は一般の住宅として活用され、現在も居住している人がいます。

ザ・サーカス

ザ・サーカス
Photo by Alex Atudosie, on Unsplash

ロイヤル・クレセントと同様、上流階級の集合住宅。円形の建造物で3つの建物からなっており、33戸の邸宅があります。これらはストーンヘンジをイメージして設計されたそうです。建築家のジョン・ウッド(父)によって設計され建設が始まりますが、途中で亡くなってしまったため息子のジョン・ウッドが跡を継いで完成させました。

1942年に爆撃によって破壊されましたが、元の建物と区別がつかないほどの再建を果たし、現在も一般住民が居住しています。ロイヤル・クレセントとも近いので一緒に見学することができます。

国名 / エリア イギリス / ヨーロッパ
登録年 1987
登録基準 文化遺産 (i) (ii) (iv)
備考 ■関連サイト
City of Bath(UNESCO)

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