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概要
「キトの市街」は1978年に世界ではじめて世界遺産に登録された12件のうちの1つです。
南米エクアドルの首都であるキト市には新市街と旧市街があり、歴史地区の旧市街が世界遺産に指定されています。
街の歴史は古くインカ帝国が誕生する1438年より以前からあるとされ、「キト」という街の名前は先住民のキトス族に由来します。キトス族が築いたキトの地は、15世紀になるとインカ帝国の統治下におかれ、首都クスコに次ぐインカ帝国第2の都市として栄えました。
しかし大航海時代になるとスペイン人が侵入。
争いの中で劣勢に立ったインカ第15代皇帝アタワルパは、部下に命じてキトの街を焼き払ってしまいました。その後インカ帝国を滅ぼしたスペインは、廃墟になったキトの街をスペイン風に再建したのです。
その後は南米大陸におけるキリスト教の布教拠点となり、様々な様式の教会や修道院が建てられました。これらの建造物の保存状態が極めて良く、当時の面影を現代に色濃く残しています。
特徴
キトはスペインの植民地支配が開始されるとイエズス会、フランシスコ会などさまざまな修道会の活動拠点になりました。ルネサンス様式やバロック様式、ムデハル様式など、多様な宗派による建築様式の教会や修道院が数多く建てられていることが大きな特徴です。
スペイン風の赤い屋根と白壁の家並みが続き、400年以上前の歴史的建造物が立ち並ぶ姿から「アメリカ大陸の修道院」と呼ばれています。
「キトの市街」の観光スポット
サン・フランシスコ聖堂
サン・フランシスコ聖堂は南米において「もっとも威厳のある教会建築」とされる南米最古の教会・修道院です。
1535年に建設され、聖堂の祭壇には彫刻家カスピカラが彫った「ラ・サバナ・サンタ(シーツを被ったキリスト像)」と題された彫刻が安置されているほか、歴史的に価値のある像や絵画がいくつも展示されています。
サント・ドミンゴ聖堂
サント・ドミンゴ聖堂は17世紀初頭に完成したバロック様式の教会・修道院。
赤い壁に金で飾られた「暁のロザリオ」の祭壇には多くの観光客が訪れます。博物館も併設されているので、スペイン植民地時代の宗教画なども見ることができます。
ラ・コンパニーア聖堂
総重量約7tもの金箔で覆われた祭壇に圧倒されるラ・コンパニーア聖堂は、17世紀初頭に建設が始まり、約160年の歳月を経て完成しました。
祭壇中央にある聖人マリアナの絵は「奇跡の絵」とも呼ばれ、ラ・コンパニーア聖堂の見どころの一つとなっています。