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概要
ヘッド-スマッシュト-イン・バッファロー・ジャンプはカナダのカルガリーの南約150㎞、アルバータ州のポーキュパイン・ヒルにある崖です。崖の幅は約300m、高さは約18mあります。崖の下にはバッファローの骨が堆積しており、多いところでは約11m以上も堆積しています。
崖下にバッファローの骨が堆積している理由は、先住民ブラックフット族がバッファローの追い込み猟を行っていたことによります。ブラックフット族は断崖にバッファローの群を追い込み飛び込ませ、崖下で待っている者が槍や石斧でとどめをさすという狩猟を行っていました。
5000年以上前から行われていた最も古いバッファローの狩猟の地であり、かつ最高の保存状態で残されています。先住民ブラックフット族の狩猟技術と彼らにとって欠かせない存在のバッファローとの関係性を示す貴重な場所であったことが評価され、1968年にカナダ国定史跡に指定、その後1981年にユネスコ世界遺産に登録されました。
先住民ブラックフット族
定住せずに移動し続ける先住民族のブラックフット族の食料はバッファローです。このバッファローは別名「アメリカ牛」とも言われ、肩までの高さが2m、体重は1t前後もある巨大な牛です。農耕文化をもたなかったブラックフット族はこれを狩りすることで部族の生活を支えていました。バッファローの肉は食料に、皮は衣服や移動式住居の材料として利用していました。
しかし、あまりに大きな牛のため、普通の狩猟の方法では太刀打ちが出来ません。それで生み出したのが崖にバッファローを追い詰め、崖から突き落として仕留める狩猟方法です。崖の下にはバッファローの骨が堆積しており、多いところでは約11m以上も堆積しています。この猟は紀元前3500年以上前から続き、19世紀まで続いていました。
このヘッド-スマッシュト-イン・バッファロー・ジャンプの周囲には火を焚いた後も多数発見されており、バッファローを追い込むときに火を使っていたと推測されています。崖下からはバッファローの骨と一緒に矢尻や鍬なども発掘されました。ブラックフット族はこの谷を血に染まった深い淵と呼んでいました。
資料館
ヘッド-スマッシュト-イン・バッファロー・ジャンプの崖の近くには資料館があります。ブラックフット族の末裔たちにより、当時の生活や狩猟の様子が再現されたイベントが実施されていることもありますので一見の価値があります。