「セルー・ゲーム・リザーブ」は、タンザニア南部に広がる広大な野生動物保護区で、1982年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。面積は約50,000平方キロメートルに及び、アフリカ最大級の保護区のひとつとして知られています。セルーは、セレンゲティ国立公園とともに、アフリカサバンナの自然生態系を代表する地域であり、野生動物の多様性と生態系の維持において極めて重要な役割を果たしています。
保護区内には、ライオン、チーター、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファローなどの大型哺乳類が豊富に生息しており、特にアフリカゾウの個体数は世界でも有数です。また、ヌーやシマウマ、インパラなどの草食動物も多数確認され、捕食者と被食者のバランスが保たれた自然な食物連鎖が維持されています。セルーでは、セレンゲティに比べて観光客の数が少なく、より手つかずの自然環境が残っているため、野生動物の自然な行動を間近で観察できる貴重な場所です。
地形は、広大なサバンナ草原に加え、森林地帯、湿地、川沿いの林帯など多様な生態系で構成されており、この多様性が動植物の豊かな生息環境を支えています。特にルフィジ川やセレンゲティとの境界を流れる川沿いの湿地は、カバやクロコダイル、水鳥などの生息地として重要です。保護区全体は、東アフリカ特有のサバンナ生態系の研究や自然保護のモデル地域としても注目されています。
セルー・ゲーム・リザーブは、1951年に保護区として指定され、野生動物の狩猟や農地開発から守られてきました。保護管理はタンザニア政府と国際団体によって厳格に行われ、密猟対策や生態系保護の取り組みが進められています。特にゾウの密猟防止や生息環境の維持は、アフリカ全体の生物多様性保護においても重要な課題とされています。
観光面では、セルーは自然体験型のサファリが中心で、広大な草原を駆け回るライオンの狩りや、ヌーの群れの移動、水辺でのゾウの家族行動など、野生動物の生態をリアルに観察できる体験を提供しています。訪問者は、大規模な自然環境の中での野生動物の営みを通じて、地球上の生命の多様性と力強さを実感することができます。
総じて、セルー・ゲーム・リザーブは、アフリカサバンナの広大な自然景観、豊かな野生動物、多様な生態系を保護する世界的に貴重な自然遺産であり、科学的研究、教育、観光の両面で非常に高い価値を持つ場所です。後世に引き継ぐべき地球規模の自然遺産として、タンザニアと世界が共に保全に努めるべき重要な地域です。
| 国名 / エリア | アフリカ / タンザニア |
|---|---|
| 登録年 | 1982年 |
| 登録基準 | 自然遺産 (ix) (x) |
| 備考 | ■関連サイト Selous Game Reserve(UNESCO) |
