教王護国寺(東寺)

教王護国寺(東寺)の概要

教王護国寺(きょうおうごこくじ)は東寺(とうじ)という名で親しまれ、8世紀末の平安時代に建てられました。当時、唐から帰国した弘法大師空海が布教した密教(真言宗)が始まった東寺は、現在では「東寺真言宗」の総本山となっています。

東寺では、パワースポットとしても知られる五重塔や金堂などの国宝が25件・81点、重要文化財は52件・23603点保有されており、 見どころ満載です。

1994年に「古都京都の文化財」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。

京都 金閣寺
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歴史

教王護国寺(東寺)
Toji by Super Jet, on Flickr

平安時代の794年、平安京の羅生門を中心として東西に、それぞれの国を守る王城鎮護の役割を担う東寺と西寺が建てられました。そして平安遷都から29年後の823年、密教を修学し唐から帰国した弘法大師空海に、嵯峨天皇は東寺を託しました。空海はこの地で真言宗を開き、東寺は真言密教の根本道場となりました。

空海は、密教を広めただけではなく建築にも携わります。講堂は空海が建築の指導をした建物の一つで、密教の中心伽藍(がらん・寺院の集合建物群こと)となりました。五重塔も同時期に空海により建設が開始されました。

その後、1233年に起こった源氏と平家の戦いにより西寺は失われ、さらに1486年の文明の土一揆で金堂、講堂、廻廊(かいろう)や南大門(なんだいもん)までもが焼失しました。講堂は焼失後すぐに、金堂は約100年後に再建され、その後の南大門の完成と共に東寺は復活となりました。シンボルである五重塔も火災や雷により何度も焼失したものの、その度に再建されてきました。

幾度もの焼失を経験してきた 東寺は、多くの著名人の援助を受けて何度も再建され、現代まで受け継がれてきました。創建当初の建物は残っていませんが、規模や伽藍の配置は当時のままです。そして、創建からおよそ1200年の1994年に 、「古都京都の文化財」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されました。

見どころ

教王護国寺(東寺)

御影堂

教王護国寺(東寺)

御影堂は弘法大師空海が住居にしたところで、後堂(うしろどう)、前堂(まえどう)、中門(ちゅうもん)の3つの建物からなります。空海はここで講堂の立体曼荼羅(りったいまんだら・密教の教えをわかりやすくしたもの)を構成し、造営工事の指揮をとりました。

現代でも、早朝6時にはお大師様にお膳を届ける「生身供」が行われていて、自由に参拝できます。一の膳、二の膳、お茶をお供えした後、弘法大師が唐から持ち帰ったとされる仏舎利(ぶっしゃり・釈迦の遺骨)を僧侶が信者一人ずつ頭と手のひらに当てて授けていきます。

国宝の五重塔

教王護国寺(東寺)
Toji by ercument gorgul, on Flickr

五重塔は高さ約55m、木造古塔の中では日本一を誇る高さです。826年、弘法大師空海は講堂の建設に着手した後、五重塔の工事も指揮しました。当初は費用と人手不足で困難に直面し、完成したのは空海没後の9世紀末でした。その後も火災や落雷により4度も焼失したものの、その度に再建され、現在の東寺の五重塔は1644年に完成した5代目となっています。

五重塔の内部は原則非公開ですが、1年のうちでも春と秋の数回のみ特別公開されます。五重塔の近くには、有料で入れる庭園が瓢箪池(ひょうたんいけ)を中心に広がっていて、水面に映る五重塔と共に年間を通して様々な景色を鑑賞できます。特に、10月末から12月にかけては期間限定でライトアップが行なわれ、同時期に見ごろの紅葉との相性は抜群です。

パワーストーン

御影堂の前には石碑が並べられていて、その中でも御利益があるといわれているパワーストーンがあります。

尊勝陀羅尼の碑(そんしょうだらにのひ)

陀羅尼(仏教の呪文)が7世紀にインドから中国に渡り、その後日本へと移されました。19世紀には陀羅尼を普及させるために京都の北野天満宮で石碑が作られ、最終的に東寺にやってきました。

石を背負っている亀のような生き物は、贔屓(ひいき)と呼ばれる龍の子供。「重きを背負うのを好む」として土台で彫られることが多い生き物です。 贔屓は手で触るか、万病ぬぐいという布で贔屓をぬぐった後、自分の体の悪い部分を触ることで万病に対するご利益があると言われています。

天降石

天から降ってきたとされる石で、尊勝陀羅尼の碑と同じく、石を撫でた手で自分の体の悪い部分を触ると悪いものが消えるとされてきました。御利益の評判が高く、病気になってしまった多くの人々がここへ撫でに来たといわれています。

教王護国寺(東寺)
東寺五重塔 – Five-story pagoda of Toji by Naoto Shibata, on Flickr

備考 古都京都の文化財」の構成資産

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