メイマンドの文化的景観

メイマンドは、イラン中央山地の南端、乾燥地帯にある渓谷のエリアで、自給自足のコミュニティが生活をしています。ここに暮らすのは半遊牧民で、乾燥した砂漠環境の気候に応じ、季節ごとに決まった３か所（伝統的には4か所）を移動して生活する移牧を行っています。

メイマンドの農牧民は季節ごとの移住先で、気候に応じた特徴の備わった住居で生活し、冬には岩を掘って造られた常設の洞窟住居で過ごします。彼らは非常に乾燥した環境において、貴重な水資源を効率よく確保し生活に利用してきました。コミュニティの社会的慣習や文化、儀式、信仰には自然環境との強いつながりが見受けられます。

このように動物ではなく人間が季節性の移動を行う慣習は、かつてはより広く見られましたが、今では珍しくなりました。メイマンドは今もなお続くその好例であり、「メイマンドの文化的景観」として、2015年に世界遺産に登録されました。