万里の長城

The Great Wall

万里の長城

万里の長城の概要

万里の長城は1987年に登録された、中国(中華人民共和国)の世界遺産です。2007年には、スイスに拠点を置く新世界七不思議財団により、「新・世界七不思議」にも選ばれました。

中国には、ほかにも城壁や長城などが多数存在しますが、この万里の長城は、歴史的にも規模的にも圧倒的であるため、単に長城といえばこの万里の長城のことを指します。

世界遺産登録の経緯

万里の長城
Photo by William Olivieri on Unsplash

万里の長城は、世界でもっとも長い防御施設です。2012年に中国国家文物局により、総延長が2万1196.18kmにのぼると公式発表されました。土、れんが、石などを建築の材料とし、一定の間隔で情報伝達のための、狼煙(のろし)をあげるための台が建てられました。

このように情報の伝達と、行商人の往来の保護という役割も担い、中国における歴史上の重要性が認められ、1987年に世界遺産に登録されました。登録箇所は、とくに保存状態の良い八達嶺(はったつれい)長城、山海関(さんかいかん)、嘉峪関(かよくかん)の3か所です。

万里の長城の歴史

万里の長城
Photo by Joel Danielson on Unsplash

春秋時代の斉(せい)が領土防衛のために国境に沿いに建造したのが始まりとされ、秦の始皇帝が中国の統一後(前221年)、匈奴(きょうど)の侵入を防ぐために延長して、長城を築きあげました。

前漢の武漢(在位前141~前87年)のころ、河西(かせい)回廊を匈奴から守るため、敦煌(とんこう)まで延長。南北朝時代以降は、北方民族の活動を防ぐため、長城は南に延長されます。

現在の規模になったのは、14世紀の明の時代で、モンゴルの侵入を防ぐためでもありました。このように万里の長城は、約2000年にわたってつくりあげられた、数百万人の農民たちと30万の兵士による国家的プロジェクトでもあります。

清の時代に入ると、モンゴルとの間の政治的境界の役割にとどまり、外的防御と当初の目的は失われ、ただ威圧感を与える程度のものとなりました。

必見ポイント

八達嶺長城

八達嶺長城
Photo by Yuchen Dai on Unsplash

万里の長城は中国政府により重要な歴史的文化財として保護されていますが、長城があまりにも長すぎるため、メンナンスの手がすべてには行き届いておらず、観光用に整備された一部のほかは、崩落する可能性がある状態で残されています。

一方で、修復の進んだ北京市周辺の長城は、観光名所として多くの観光客が集まりますが、とくにこの八達嶺長城は、北京市内から60kmというアクセスの良さもあり、中国観光の目玉でもあります。

馬5頭が横並びで通れたという幅6mの長城と、途中にある「明の一三陵」は、13人の皇帝と23人の皇后、1人の貴妃が眠る陵墓があり、見学もできます。
全長は約3700mであり、明の時代に改修され、保存状態も良好で、私たちが一般的にイメージする万里の長城らしい姿が見ることができる場所としても有名です。

入り口に入るルートは2つに分かれており、北側から入るルートの比較的傾斜の緩やかな通称「女坂」、南側からの傾斜がきつい階段がある通称「男坂」に分かれます。

最高到達点の城楼まで歩くのには往復で1時間半ほどかかりますが、観光用のロープウェイが設置されてあるので、そちらを利用するのもおススメです。日本語でガイドをしてくれるツアーも用意されています。

募田峪(ぼでんよく)長城

募田峪(ぼでんよく)長城
Photo by Carol Jeng on Unsplash

八達嶺長城の東側、北京市内から約70kmのところに位置します。全長約2250mで八達嶺長城ほどの長さはないものの、緑豊かな山間部にあり、周囲の風景との調和が見どころです。

1580mもの長さがある滑り台がとくに有名で、長城からふもとまでソリのような感覚で乗って滑ることができます。近年は八達嶺長城のほうが、人気が高まりすぎて非常に混雑しており、落ち着いて観光したいなら、こちらを訪れるのもよいでしょう。

敵楼(てきろう)

敵楼(てきろう)
The great wall by Hanna Norlin, on Pixabay

城壁と城壁との間に要所として、一定の間隔で設けられている砦です。兵士が常駐し、随時監視する場所でもあります。また雨風から身を守る場所、武器や食料の保管場所、兵士の休憩場所の役割も担っていました。

万里の長城
The great wall by cattan2011, on Pixabay

国名 / エリア アジア / 中華人民共和国
登録年 1987年
登録基準 文化遺産 (i) (ii) (iii) (iv) (vi)
備考 ■関連サイト
The Great Wall(UNESCO)

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です