古代都市ウシュマルは、メキシコのユカタン半島北部、メリダの南約80kmに位置し、マヤ文明後期を代表する重要な都市です。8~10世紀にかけて築かれたとされ、とりわけ「プウク様式」と呼ばれる建築様式の最も完成された例として知られています。この様式は、建物の外観を上下二層に分け、下部は滑らかな石材による簡素な構造、上部にはチャーク神(雨の神)の仮面や幾何学模様による精緻な装飾が施されています。
ウシュマルの都市設計は、金星の動きなど天文現象や周囲の丘陵地形に基づいており、マヤの宇宙観と自然との調和を体現しています。代表的な建造物には、「魔法使いのピラミッド」「尼僧院」「総督の宮殿」などがあり、その建築美はマヤ芸術の頂点とされています。さらに、水源が乏しい環境にもかかわらず、雨水を貯める貯水システム「チャルトゥネス」が整備されるなど、自然と共存する高度な知恵もうかがえます。
国名 / エリア | アメリカ大陸 / メキシコ |
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登録年 | 1996 |
登録基準 | 文化遺産 (i) (ii) (iii) |
備考 | Pre-Hispanic Town of Uxmal(UNESCO) |