仁和寺

Ninnaji

仁和寺

仁和寺の概要

仁和寺 二王門
Ninnaji by Snake Cats, on Flickr

仁和寺(にんなじ)は真言宗の総本山として知られ、かつては、代々皇族の子孫が住職を務めていたため、門跡寺院と呼ばれていました。数々の焼失を経験してきましたが、現在まで大切に守られ、残されている仁和寺の諸堂ほとんどは大正時代に再建されたものです。1994年に世界文化遺産に「古都京都の文化財」の構成資産の1つとして登録されました。

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通常、仁和寺境内は入場無料で、御殿・霊宝館の拝観が有料です。御室桜の開花時期は祭りも行われるため、その時期は入場料がかかります。

仁和寺の歴史

宇多天皇
Photo by Snake Cats, on Flickr

仁和寺は第58代光孝天皇により、西山御願寺(天皇・上皇・皇后によって建てられる寺)の建立が発願されました。しかしその後、光孝天皇は崩御されてしまったため、第59代宇多天皇が継がれ、最終的に888年に完成しました。当時の年号をとり仁和寺と名付けられることになります。

宇多天皇はその後出家し、初代の住職として仁和寺に住んだため、仁和寺は御室御所とも呼ばれていました。宇多天皇が真言宗を出家したのもあり、当時、別当(寺の長官)は真言宗の観賢に選ばれ、それ以降も宇多天皇の子孫が別当に就いてきました。これにより、仁和寺は門跡寺院(皇族・公家が住職)として認識されるようになります。

1467年の応仁の乱が起こり、仁和寺は焼失してしまいましたが、本尊の阿弥陀三尊像や聖教は別の場所に移されたため被害は免れました。焼失した仁和寺は、その約160年後に江戸幕府の徳川家光により再建されることになりました。京都御所からは紫宸殿(現金堂)、清涼殿(御影堂)、御常御殿(宸殿・しんでん)が仁和寺に移され、二王門、五重塔、観音堂も建てられることになり、仁和寺は新たな一歩を踏み出しました。

1867年には小松宮彰仁親王が退任となり、それまで30代続いてきた門跡寺院は終了してしまいました。1887年には、宇多天皇が出家後に住んでいた仁和寺内の御室御所が焼失してしまう出来事がありましたが、大正時代に再建され、現在の仁和寺が完成しました。

こうして、1994年には世界文化遺産に登録され、現在では仁和寺は真言宗御室派の総本山となっています。

見どころ

仁和寺の見どころは、入口近くの仁和寺御殿、そして奥に広がる寺院伽藍のエリアと2つあります。
仁和寺の桜には「御室桜(おむろざくら)」の名が付いており、境内にある桜林は国の名勝に指定されています。

仁和寺御殿

仁和寺御殿は仁和寺の中心で、場所は入口である仁王門をくぐり抜けたすぐ左側に位置します。敷地内は有料で、約30分ほどで拝観できます。

一度1887年に焼失してしまっていますが、現在残されている仁和寺御殿は、その後の大正時代に再建されたものです。敷地内は登録有形文化財となっている建物が並び、中でも宸殿と、存在感のある宸殿庭園は必見です。

宸殿

仁和寺 宸殿

独立した建物である白書院、宸殿、黒書院、霊明殿が廊下で繋がっていて、宸殿は真ん中に位置します。宸殿は代々門跡の住まいとなり、儀式や式典の中心の建物でもありました。京都御所の御常御殿を移築したものが使用されていましたが、明治時代の火災により焼失してしまいます。後に再建された御殿内部には、螺鈿(らでん)細工や襖絵が描かれ、天皇の御殿をよくイメージされた傑作の建物となっています。

北庭

仁和寺 北庭
Temple Ninna-ji by Annie Guilloret, on Flickr

宸殿の北側に位置するこの北庭は、池泉を中心に周りは草木で囲まれています。緑の木々の間からは五重塔が顔をのぞかせ、北庭の水面には緑と五重塔が反射し、芸術的な風景が見られます。秋になると緑に紅葉も加わり、他の時期には見られない新たな北庭の一面を楽しめます。

寺院伽藍

寺院伽藍は中門より北に広がる諸堂で、国宝や重要文化財の建物が広がっています。

金堂(国宝)

仁和寺 金堂

中門をくぐると正面に位置するのが、寺院伽藍の建物の中で唯一の国宝に指定されている金堂です。金堂は仁和寺の本堂で、原因不明の焼失、応仁の乱による焼失と度重なる焼失と再建が繰り返されてきましたが、現在の金堂は江戸時代前半に京都御所から移った紫宸殿となっています。

大日如来を本尊としている真言宗が多いですが、仁和寺では供養のためとして阿弥陀三尊像が安置されています。通常内部公開はされていませんが、春と秋には特別公開日があり、普段は見ることができない金堂の内部を拝観する良い機会となっています。

清涼殿(御影堂)

仁和寺 御影堂
Ninnaji by Victor Lee, on Flickr

御影堂も何度か焼失を経験しています。そのため、現在の御影堂は宸殿や金堂と同じく、京都御所から移された清涼殿が造営されたものです。御影堂内部は、内陣と外陣に分けられていて、内陣には真言宗の開祖である弘法大師像(空海)をはじめ、宇多法皇像と仁和寺第2世性信親王像も安置されています。御影堂へは外陣まで入れるため、間近で拝観できます。

御室桜

仁和寺 御室桜
Kumamushi, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

仁和寺御殿を出て左の先にある中門をくぐると左手には桜の木々が植えられていて、春になると約200本もの桜が開花します。この御室桜は「さくら名所100選」にも選ばれていて、この時期の仁和寺の入場料は有料ですが、毎年多くの人々が訪れる人気の桜スポットです。桜の高さが約2mと低いのは、この地の地盤が固くて根がはれないためであるとされています。


登録基準 (ii) (iv)
備考 関連情報:「古都京都の文化財」の構成資産
公式サイト:真言宗御室派総本山仁和寺

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