ビニャーレス渓谷

ビニャーレス渓谷は、キューバ島の西端に位置する、シエラ・デ・ロス・オルガノス山脈に囲まれたカルスト地形を有する地域です。高さ最大300メートルに達する「モゴーテ」と呼ばれるドーム状の石灰岩の孤立丘が点在し、その独自の景観美は圧倒的です。

19世紀初頭から定住が始まったこの地は、肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれ、牧畜や食料作物、飼料の栽培が行われてきました。特にタバコ栽培は、何世代にもわたってほとんど変わることなく伝統的な農法が守られ、地域の文化的景観を形成する重要な要素となっています。また、この渓谷は先住民、スペイン人、アフリカ系奴隷の文化が交じり合った独自の背景を持ち、音楽や工芸、伝統的な建築において、キューバの多文化が色濃く反映されています。