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ティカル国立公園の概要
ティカル国立公園は、グアテマラ北部のペテン地方ティカルにある国立公園で、1696年スペイン人により発見されました。紀元前から10世紀にまで及ぶマヤ文明の最古かつ最大の神殿都市遺跡です。
面積574㎡もの敷地内には神殿や宮殿跡をはじめ、3000棟にも及ぶ建築物が残されており、広大な熱帯雨林には今も絶滅危惧種を含む多様な生物が生息しています。
ティカルの遺跡は1979年に文化・自然の複合遺産に登録されました。
世界遺産登録の経緯
ティカル国立公園はグアテマラ北部のペテン地方ティカルに位置する、広大なマヤ生物圏保護区の一部にある国立公園です。ティカルでは紀元前800年頃からマヤ人が熱帯雨林地域に定住し始め、とうもろこし栽培の焼き畑農場で町を切り拓きました。紀元前6世紀から10世紀までのマヤ文明の遺跡が残っていることから、マヤ文明で栄えた都市であることが分かります。
ティカルの最盛期である3~9世紀には6万人もの人達が暮らし、カリブ海と川とを結ぶ交通の要地として翡翠や黒曜石、ケツァールの羽などの交易も盛んに行われました。政治や宗教、経済の中心地として栄えましたが、10世紀に衰退。原因は未だに分らずそのまま忘れ去られてしまったのです。
その後1696年、密林に迷い込んだスペイン人修道士が巨大ピラミッドを見つけ、ティカルの町が発見されました。しかしすぐに発掘調査が行われることはなく、大規模な発掘調査が始まったのは19世紀後半。グアテマラ政府がティカルを国立公園に認定したのは1955年となりました。
ティカル国立公園には、神聖な儀式を行う場所であったグラン・プラザを中心に北・南・中央の3つのアクロポリスやコンプレックス型ピラミッド、5つの神殿群が配置され周辺には建物が残されました。アクロポリスには神殿や墓所、住居跡があり、中央アクロポリスには土器や壁画の様子から王族や貴族が暮らしていたと考えられ、ア・カカウ王の墓や埋葬品も発見されました。ティカル国立公園は、現在もまだ発掘中で作業が行われている状況です。
現在では「スターウォーズ エピソード4」のロケ地の他、ディズニーシーの人気アトラクション「インディージョーンズ・アドベンチャー」のモデルとして使われるなど注目を浴び、観光客が多く押し寄せる観光地となっています。
さらにティカル国立公園の広大なジャングルには生物多様性が保持されており、100種類を超える哺乳動物、絶滅危惧種である「メキシコカワガメ」、爬虫類や鳥類など多くの生物が生息しています。世界3大花木の一つであり聖なる木とも言われる「セイバ」の木など、この地域にのみ生息する植物もあり、貴重な場所となっています。
ティカル国立公園は、人類の創造性を発揮する傑作であり、消滅した文明の稀な証拠でもあります。人類の歴史上の重要な時代を伝える建築物群を持ちかつ稀な生物多様性を保持しています。非常に貴重な場所として保存を続けていくことが必要であるとして、1979年にユネスコの複合遺産に登録されました。
観光のポイント
1号神殿
ティカル国立公園には5つの神殿があり、中央にある1号神殿は高さ47mもある9層からなる神殿で734年に建てられました。入口にはジャガーの彫刻が発見されたことから「大ジャガーの神殿」とも呼ばれ、翡翠の首飾りや土器なども発掘されています。埋葬されているのはマヤ文明の最盛期の王だと判明しています。
2号神殿
第2神殿は屋根部分に仮面に彫刻があることから「仮面の神殿」と呼ばれ、高さは5つの神殿群の中で最も低いながらも、安定した力強さがあります。1号神殿と向かい合っていることから王妃の神殿と考えられます。神殿には登ることができ、登ってみるとグラン・プラザ全体の壮大な景色を見渡すことができます。
国名 / エリア | アメリカ大陸 / グアテマラ |
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登録年 | 1979年 |
登録基準 | 複合遺産 (i) (iii) (iv) (ix) (x) |
備考 | ■関連サイト Tikal National Park(UNESCO) |