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インドの山岳鉄道群とは
インドの山岳鉄道群はインド山岳部を走るダージリン・ヒマラヤ鉄道、ニルギリ山岳鉄道、カールカー=シムラー鉄道の3つからなる世界遺産です。鉄道を対象にした世界遺産は珍しく、また100年以上たった今も現役として活躍しており、開設当時からの蒸気機関も走っているという今を生きる世界遺産なのです。
3つの世界遺産のうち始めに登録されたのが、ダージリン・ヒマラヤ鉄道です。
1999年に登録に至ったダージリン=ヒマラヤ鉄道は、1881年に開通した世界最古の山岳鉄道。前長約88kmの路線で、標高は高くて2200mにものぼります。インドの東北部に位置し、紅茶で有名なダージリン地方を走るこの鉄道は、「トイ・トレイン」という愛称でも知られていて、その名の通り可愛らしい列車が特徴です。
次に登録に至ったのがニルギリ山岳鉄道です。
2005年にダージリン・ヒマラヤ鉄道を拡張する形で登録されました。インド最南端のタミル・ナードゥ州のメットゥパラやむからウダカマンダラムまでを走り抜けます。
1899年に開通したニルギリ鉄道は、200を超えるカーブと、トンネル16カ所、橋250カ所を、当時の最先端技術を用いて作られた急勾配区間にも対応可能なギアを用いて走り抜けます。
最後にカールカー=シムラー鉄道です。
インド北部ヒマーチャル・ブランデージュ州などを走るトイ・トレインです2008年に登録されました。イギリス人が夏季のインドの暑さが苦手であったため、首都を避暑地のカルカに移すために建設されました。100カ所を超えるトンネルと、インド山岳鉄道群の中で最も多い864カ所の橋が掛けられています。
インド山岳鉄道群の歴史
インド山岳鉄道群はイギリスの植民地時代、紅茶の葉の輸送や高原保養地に向かうイギリス観光客のためイギリスが建設しました。
当時開通を急いでいたイギリスは、既存の山道や地形を流用しやすいようにレールの接続に大胆かつ独創的な技術を用いました。その最先端技術で建設された鉄道は、インドを鉄道大国として導くこととなったのです。
アジアで最初の鉄道が敷かれたのもインドで1853年の事でした。その後インドを追いかけていく形で、アジア各地に鉄道建設が行われることとなったのです。
しかし、現在インドの鉄道だけが取り残されています。これはアジア各地の鉄道が猛スピードで進化していったためで、インド山岳鉄道群のみが100年以上の姿のままであり続けることとなったのでした。
世界遺産登録の経緯
世界の鉄道の歴史の先駆けとなったと同時に、今もなお当時の姿を残している貴重な文化遺産であることが評価され、世界遺産登録に至りました。
必見ポイント
ダージリン・ヒマラヤ鉄道
3つの鉄道群の中で一番有名な鉄道。標高2200mから壮大な景観が楽しめます。トイ・トレインは子供心に帰ったような気分になれます。
ニルギリ山岳鉄道
2005年に世界遺産登録対象に加えられたニルギリ山岳鉄道。
ニルギリ山岳鉄道は、麓のメットゥパラヤム(標高326m)から避暑地のウダカマンダラム(標高2203m)まで約46kmの道のりを結ぶ鉄道です。インドで稼動している蒸気機関車鉄道の最後のひとつとなっています。
カールカー=シムラー鉄道
カールカー=シムラー鉄道は3つの鉄道の中で最後に登録された鉄道で、2008年に登録対象となりました。車窓から見える列車のハイライト、石灰岩で作られた4段のアーチのカノー橋梁の景色は絶景です。
国名 / エリア | アジア / インド |
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登録年 | 1999年 |
登録基準 | 文化遺産 (ii) (iv) |
備考 | 登録年:1999年「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」 拡張年:2005年「ニルギリ山岳鉄道」、2008年「カールカー=シムラー鉄道」 ■関連サイト Mountain Railways of India(UNESCO) |