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メサ・ヴェルデ国立公園の概要
メサ・ヴェルデ国立公園は、アメリカ合衆国コロラド州南西部に位置する国立公園で、先住民であるプエブロインディアンのアナサジ族が、断崖をくりぬいて作った岩窟住居、石造りの塔など4000以上の史跡を持つ集落遺跡群です。保存状態も良く、16世紀のヨーロッパ諸国における新大陸発見以前から農耕定住生活を送る高度な文明が存在した証拠として、1978年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録の経緯

メサ・ヴェルデ国立公園は、アメリカ合衆国コロラド州南西部に位置する公園で、標高は2100m~2600m、面積は211㎢の先住民のアナサジ族が作った集落遺跡群です。アナサジ族という呼び名は、先住民ナバホ族の言葉で「古の人々」「古の敵」を意味し、やや差別的であることから今では先プエブロ族と呼ばれるのが一般的になっています。「メサ・ヴェルデ」は、スペイン語で「緑の大地」を意味し、呼び名通りに辺り一帯は森林となっています。
農耕民族である先プエブロ族は1世紀ごろからメサ・ヴェルデで暮らし始めます。8世紀頃まではバスケット・メーカー文化とも呼ばれる独特なかご作りを行い、小さな竪穴式住居に住み少しずつ道具を進化させていきました。
9世紀頃からは集落の随所に、「祈祷所」や「公共施設」の役割を果たすキヴァという円柱状の場所を造り、「水」のための雨乞いの儀式を行いました。キヴァ内部では空気を循環させる等工夫も行っていたことが分かっています。
12世紀にはプエブロ文化といわれる、岩陰を利用した日干し煉瓦の壁による本格的な岩窟住居を作り暮らし始めました。岩窟住居で暮らし始めた理由は定かではなく、外敵から身を守るためとも宗教上の理由とも言われます。しかし先プエブロ族は14世紀になると突然その地を放棄してしまったのです。確かな理由は分からないままとなっています。
その後忘れ去られていたメサ・ヴェルデですが、1888年に牧場主のリチャード・ウェザーリルによって発見。ウェザーリル兄弟が108か所にも及ぶ断崖をくりぬいた集落を発見し、その後考古学者による発掘調査が本格化しました。メサ・ヴェルデ国立公園は、1906年にアメリカ国立公園に制定されました。
消滅した文明の稀な証拠であることから、1978年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。このユネスコへの世界遺産登録は、世界で初めて登録された世界遺産12件のうちの1件となる貴重なものでした。
観光のポイント

クリフ・パレス
メサ・ヴェルデ公園内で最大の遺跡はクリフ・パレスと呼ばれる岩窟住居で、キヴァが21個、部屋は200室、高さは4階建て相当あります。水場や調理場もあり、100~120人ほどが暮らしていたと想定され、高層住宅の様相をなしていたことからも権力者が暮らしていたと考えられます。クリフ・パレスは観光ガイドが付いたツアーでのみ見学可能で難易度が低い参加しやすいツアーです。同じくツアーが組まれているバルコニー・パレスツアーは、垂直に近い梯子や、チェーンを使った崖のぼり等があり冒険として楽しめます。