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ヒエラポリス-パムッカレの概要
「ヒエラポリス-パムッカレ」はトルコ西部のデジズリ県にある世界遺産です。パムッカレはトルコ語で「綿の宮殿」を意味し、綿が取れる事で有名な地域です。石灰分を多く含む温泉が湧きだし、真っ白な石灰棚が続く丘陵地の美しい景観をもちます。
ヒエラポリスは、広大な石灰質の大地・パムッカレの丘の一番上にある遺跡です。紀元前2世紀にアッタロス朝(ベルガモン朝)によって築かれた古代都市で、ローマ帝国の温泉保養地として栄えました。その中には八角形の聖堂(マルティリウム)や、共同墓地、ローマ劇場が作られています。
ヒエラポリス-パムッカレは、1988年にユネスコの世界複合遺産に登録されました。
世界遺産への経緯
ヒエラポリスは紀元前190年に、小アジア西岸に栄えたアッタロス朝のエウメネス2世により軍団居留地として建設されましたが、その後ローマ帝国に支配され温泉保養地として栄えました。
カラカラ帝をはじめ、ローマの歴代皇帝はヒエラポリスを気に入り、八角形の聖堂(マルティリウム)や、共同墓地をつくり温泉都市を築きました。豊富な水源を利用した綿花や穀物の栽培も行い、イスラム勢力が侵入した7世紀も大いに繁栄しています。
ローマ帝国時代に地震に襲われた後復興をとげましたが、1354年の大地震により都市は崩壊し、その後は放置され忘れ去られました。20世紀半ばにはヒエラポリスの廃墟の上にホテルやアプローチ道路が建設され、大きな被害をうけました。世界遺産への登録時、ホテルや道路は撤去され、人口プールへ変わりましたが、今なお復元されていない遺跡が多くあります。
パムッカレは、高さ100mもある棚田のような段丘の上部から湧き出る温泉で、長い時間をかけて石灰分により真っ白な棚田が出来上がりました。景観保護の観点から現在入浴は禁止となりましたが、今でも石灰棚の上を歩くことや、足湯を楽しむことができます。
消滅した文明の証拠であり、人類の歴史上重要な時代を例証する景観である優れた自然美をもつ最高の自然現象であることから、1988年にユネスコの世界複合遺産に登録されました。
観光のポイント
円形劇場
円形劇場は14代ローマ皇帝ハドリアヌスによって2世紀に建設されました。収容人数が約1500人という大きな劇場で、1354年の大地震後も非常に良い状態で保存されています。正面にはギリシャ神話の彫刻を見る事ができるほか、観客席の上部からは遺跡全体を見渡すこともできます。
パムッカレ・テルマル
パムッカレの入り口にある天然炭酸水の温泉施設で、ローマ時代の遺跡が沈む巨大なプールです。水の神を祀る神殿があった場所といわれており、温泉の底には大理石の柱が沈んでいます。水中の遺跡の様子を楽しみながら泳いだり、遺跡に座って鉱泉に浸かったりして楽しめます。