アワッシュ川下流域

Lower Valley of the Awash

概要

アワッシュ川下流域
Lower Valley of the Awash by Ninara, on Flickr

アワッシュ川下流域は、人類発祥の地エチオピアの首都アディスアベバから北東に約300km離れたアファール盆地の西側に位置する世界遺産です。

1974年に国際アファール調査隊が、最古の人類とされる約300万年以上前の猿人アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)の骨を発掘。

考古学的にも人類の進化の研究においても重要な発見だったことから、1980年に世界遺産に登録されました。

特徴

化石「ルーシー」
Lucy by Travis, on Flickr

1973年からスタートした遺跡の発掘調査で、大量の化石化した猿人や動物の骨の化石が発見されました。見つかった化石の数は316個におよび、これが「エチオピアは人類発祥の地」と言われる所以となっています。

その中でも、有名な化石が「ルーシー」と呼ばれる化石人骨です。ルーシーは約320万年前に地球で暮らしていたアウストラロピテクス・アファレンシスの全身の化石人骨。

発掘された52個のルーシーの骨の破片は、全身の約40%にあたり、全身骨格の復元を可能にしました。アウストラロピテクスなどの化石人骨の一部は数多く発見されてきましたが、全身骨格が発見された例は少なく、世界で最初に発見されたものがルーシーなのです。

身長は約1mで25歳くらいの女性。体重はわずか30kgとみられています。

なぜルーシーが有名なのかというと、当時の学説を裏付ける証拠となったためです。

当時の学説では、直立二足歩行は脳の大きさの成長の結果であると考えられていましたが、証拠となる化石人骨が発見されていませんでした。

しかしルーシーが発掘されたことで、人類の進化の過程で脳の大きさの増大よりも二足歩行が先行していたという学説を証明することができたのです。

ルーシーと言う名前の由来は、ザ・ビートルズの名曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」にちなんで付けられました。

調査隊がこの化石人骨の発見をお祝いしている時に、テープレコーダーから流れていた歌が元になっているんですね。

ルーシーにはどこで会える?

エチオピア国立博物館
National Museum of Ethiopia by David Stanley, on Flickr

ルーシーの化石標本は、エチオピアの首都アディスアベバにあるエチオピア国立博物館の保管庫に収蔵されており、展示室でレプリカを見ることができます。

ルーシーの骨格標本の他に、全身の骨格を復元したものや、たくさんの化石人骨が展示されているので、人類の祖先の歴史に触れることができます。


国名 / エリア アフリカ / エチオピア
登録年 1980年
登録基準 (ii) (iii) (iv)
備考 文化遺産

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