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概要
グラーツはオーストリア南東部、ウィーンから南西約150kmに位置するオーストリア第2の都市です。スラブ語で「小さな城」を意味する「グラデツ」がグラーツの名前の由来となっています。グラーツ市街は、文化や教育の中心として、現在でも多くの教会や大学、王宮があり、ゴシックやルネサンスなど、時代が異なる建築様式が調和し、良い状態で保存されていることから、「中欧で最も完全な歴史的旧市街」と言われます。
エッゲンベルク城はグラーツ市街歴史地区からは西方に約3kmに位置し、1625年~1635年に建てられました。ルネサンス様式からゴシック様式の移行期のものでしたが、ロココ様式の改築が施されています。
1999年グラーツ市街に残る歴史地区はユネスコの世界文化遺産に登録され、2010年にはエッケンベルク城も拡大登録されました。
世界遺産登録の経緯
グラーツは13世紀の中世ルネサンス時代に、神聖ローマ皇帝位についたハプスブルク家が、スイスからオーストリアに来た際に、この地に居住を置いたため飛躍的に繁栄しました。15世紀には、神聖ローマ皇帝となるフリードリヒ3世が居を構えたことから、グラーツは神聖ローマ帝国の首都となり、イタリア建築家により王宮や大聖堂が建てられました。
15世紀以降はオスマン帝国の脅威はありつつも、グラーツは文化的、芸術的には繁栄していました。しかしフェルデナント2世時代になると、ウィーンへ遷都され、グラーツの繁栄は衰えてきました。その頃建設されたのがエッゲンベルグ城です。
ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示し、人類の歴史上、重要な時代を例証する建築様式、建築物群であるとして、1999年に「ハプスブルク家」として旧市街が世界文化遺産に登録されたのち、2010年にはエッゲンベルク城が構成遺産として加わり、世界文化遺産に拡大登録されました。
観光のポイント
エッゲンベルク城
17世紀に建てられたエッゲンベルク城ですが、4つの塔はそれぞれ四季を、12の門は12ヶ月を、365個の窓は1年の日数を表しており、3階の連続する広間の数24は、1日の時間を表します。バロック様式の装飾が施され、中国風や日本風の部屋などもあります。
グラーツ大聖堂
グラーツ大聖堂は、1438年から1464年に宮廷聖堂として建てられ、元々はゴシック様式の建物でしたが、宗教改革期にバロック様式の内装に変えられました。壁面には「災厄図」と呼ばれるグラーツ現存最古のフレスコ画が残っています。内部にはイエズス会士たちが持ち込んだ聖遺物箱なども残されています。
武器庫
武器庫は、1642年に建てられ、武器庫としては世界最大ともいわれます。現在は当時の姿で博物館として残されています。16世紀から19世紀の約3万点以上の武器が保存されていて、中世の雰囲気を感じられます。ファサードにはマニエリスム様式の美しい装飾が施されているのも見どころです。
国名 / エリア | オーストリア / ヨーロッパ |
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登録年 | 1999 |
登録基準 | 文化遺産 (ii) (iv) |
備考 | ■関連サイト City of Graz – Historic Centre and Schloss Eggenberg(UNESCO) |