ゴンダール地域のファジル・ゲビ

Fasil Ghebbi, Gondar Region

ゴンダール地域のファジル・ゲビは、エチオピア北部の都市ゴンダールにある、17世紀から18世紀にかけてのエチオピア皇帝たちの王宮群です。**「ファジル・ゲビ」**とは「ファシラダスの囲い地」を意味し、皇帝ファシラダス(在位:1632–1667年)によって築かれた城塞建築が起源とされています。ここは、それまで移動型の王権を持っていたエチオピアが、初めて首都を固定化し、政治と文化の中心地とした場所でもあります。

敷地内には、ファシラダスの城をはじめ、後の皇帝たちによって建てられた複数の宮殿、礼拝堂、図書館、宴会場、浴場などが存在し、壮麗な石造建築が並びます。これらの建築は、エチオピア、アクスム、アラブ、バロック、インドなどの建築様式が融合した独特なデザインが特徴で、当時の国際交流の痕跡を今に伝えています。

特に、ファシラダスの城は最も保存状態が良く、高さや重厚な外観から「アフリカの中世の城」とも称されることがあります。さらに、毎年1月に行われるエチオピア正教の祭典「ティムカット(主の洗礼祭)」では、王宮近くの浴場で聖なる儀式が行われるなど、現在も宗教的・文化的な意味を持つ場所です。

この歴史的建築群は1979年にユネスコ世界遺産に登録され、エチオピアの王朝文化と建築技術の粋を今に伝える貴重な遺産とされています。


国名 / エリア アフリカ / エチオピア
登録年 1979年
登録基準 (ii) (iii)
備考 文化遺産

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