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概要
ナスカの地上絵は、ペルーの首都リマから南へ400㎞、アンデス山脈と太平洋の間の砂漠地帯に刻まれた巨大な地上絵が特徴の世界遺産です。
そのナスカの地上絵の目と鼻の先にあるのがパルパの地上絵で、こちらの地上絵の方が後に発見されました。第一発見者はアルフレッド・クローバーという人類学者です。
ナスカの地上絵が描かれたのは、紀元前200年から紀元前800年頃のナスカ文化時代であると推測されています。一方でパルパの地上絵はナスカよりも古いパラカス文明時代に描かれています。
ナスカ・パルパの壮大な地上絵は多くの人を魅了し、今に受け継がれています。そんな地上絵に魅了された人の1人がマリア・ライヘです。彼女はこの不思議な絵に魅了され、その生涯を地上絵の研究と保存にささげました。目的や制作方法は未だに謎が多く、現在も研究が続けられています。
その中でも目的としては、「天文観測説」「宇宙船発着場説」「雨乞い説」「宇宙人落書き説」など多くの仮説が唱えられていますが、現段階では農耕や水に関わる儀礼に用いられていたという説が有効です。
制作方法としては、巨大で精巧な図を描くためには高度な測量技術と数学的知識が必要とされますが、果たして当時の人々は、そのような高度な技術を持ち合わせていたのか疑問が残ります。
これらの個性的でオリジナリティ溢れる絵が現存しているのは、乾燥地帯の雨風の影響が少ないことが第1の理由です。第2にナスカの人々が消えにくい場所を選んで描いていたためで、分析からも明らかになっています。
このように、古代の人々の知恵と技術によって現代の私達に伝えたくれた遺産は、人類の歴史と不思議な魅力を私達に感じさせます。
特徴
ナスカ・パルパの地上絵は700以上の幾何学模様と、約70の動植物の絵が描かれています。具体的には、ハチドリ、クモ、ペリカン、サル、宇宙飛行士などです。大きさは10∼300mと大小様々ですが、全体像を把握するにはかなり高い位置から見なければいけません。
では、実際にはどのように描かれているのでしょうか。
実は、ナスカの台地は、表面は濃い土に覆われていますが、20センチほど掘ると白い砂が出てきます。この白い砂を利用することではっきりとした線を描くことができるのです。
そんなナスカの地上絵とパルパの地上絵ですが、双方には線の太さに差があります。具体的には、パルパの地上絵は数㎝の太さで描かれているのに対し、ナスカの地上絵は1~2mほどと歴然とした差です。これは、パルパの地上絵が後に発見された理由の1つでもあります。
近年では、パラカス文化の後期に描かれたとされる猫の地上絵が発見されました。全長37メートルにわたるこの猫の絵は、「2000歳超えの猫」として注目を集めています。
更に2018年、現地の考古学チームがドローンを使った調査で、パルパで新たな地上絵を50枚発見しました。同時に日本のチームもナスカ台地の西部で142点の地上絵を発見するなど、発見ラッシュが続いています。
構成資産
ハチドリ
このハチドリの正式名はカギハシハチドリ。アンデス山脈の山腹の森や、ペルー北部に生存していますが、ナスカ地域に生息していないにも関わらず描かれていることが疑問となっています。
全長は96mと大きく、上空からでないと全体がはっきり分かりません。
猿
しっぽが渦巻きになっているのが特徴。全長は55mと小さい部類に入ります。
この地上絵を発見したのは、かのナスカの地上絵の研究に一生をささげたマリア・ライヘです。
ペリカン
全長285mとナスカの地上絵最大の大きさを誇ります。
描かれている線の幅も太く、一番太いところではおよそ60センチメートルまでにのぼります。
国名 / エリア | アメリカ大陸 / ペルー |
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登録年 | 1994 |
登録基準 | 文化遺産 (i) (iii) (iv) |
備考 | ■関連サイト Lines and Geoglyphs of Nasca and Palpa(UNESCO) |