チンチョーロ文化は、チリ最北部のアリカ・イ・パリナコータ州に位置するアタカマ砂漠沿岸で約7,400年前から2,840年前まで存在した、海洋系狩猟採集民の社会です。この地域は世界でも最も乾燥した環境のひとつに数えられ、人々は淡水や植物資源の乏しい過酷な土地で、海の豊富な資源を活用して暮らし、独自の技術と文化を築きました。
特に注目されるのは、世界最古とされる人工的なミイラを作り出した点で、死者を重要な存在とみなす精神文化がうかがえます。遺跡は都市部と農村部にまたがる3か所に分かれ、集落跡、墓地、貝塚などが発見されています。これらは、当時の生活や死生観、自然との関わりを示す重要な証拠であり、極限環境における人類の適応力と文化の豊かさを物語っています。