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「グウィネズのエドワード1世の城群と市壁群」の概要
グウィネズのエドワード1世の城群と市壁群は、イギリス、ウェールズに位置する、グウィネズ地域のビューマリス城、コンウィ城、カーナーヴォン城、ハーレフ城という4つの城から成る城郭群です。それら4つの城はイングランド王エドワード1世によってウェールズ地域に軍事要塞の機能をもたせるため、13世紀に建てられました。
グウィネズのエドワード1世の城群と市壁群は、1986年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録の経緯
イングランド王エドワード1世は、1282年にウェールズから領地を奪い、その地にイングランドから商人や職人を呼び寄せ、新しい街を作りました。ウェールズ側は独立を求めて戦争を行いましたが、イングランドに勝つことは叶わず、ウェールズ全土はイングランドの支配下に置かれました。
エドワード1世は、ウェールズの抵抗を抑えるためにカーナーヴォン城を建設し、続いて要塞としてコンウィ城、ハーレックス城、ビューマリス城を建設しました。
北ウェールズには10の城が築かれ、環状だったことからアイアンリング(鉄の輪)ともいわれています。アイアンリング諸城はイングランドからの補給や支援を受けるためにも海岸線に建設され、防衛力強化のために用いられました。
グウィネズのエドワード1世の城群と市壁群は、人類の創造的才能を表現する傑作であるとともに、当時の文明のまれな証拠であり、人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群であることから、1986年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
構成資産
ビューマリス城(Beaumaris Castle)
ビューマリス城は、イギリス、ウェールズ北西部のアングルシー島の港湾都市ビューマリスにある城です。外側が八角形(ほぼ六角形)と内側が四角形の二重環状城壁で構成されており、その左右対称の美しい姿は、後のヨーロッパの築城でしばしば模倣されました。
カーナーヴォン城(Caernarfon Castle)
カーナーヴォン城は、ウェールズ北部のメナイ海峡に面して位置する地に、イングランド王エドワード1世によって、1283年に建設が始められ、48年の時間をかけて建てられました。費用が尽きて未完成だとも言われています。エドワード1世の息子エドワード2世が生まれたお城としても有名です。
北ウェールズを支配する際の中心地として、10城あるアイアンリングの城の中でも最も大きく、641個の要塞を持ちます。アイアンリングの城が陥落する中で、包囲軍を撃退する経験を持つ強固なお城でしたが、16世紀にはウェールズの支配が安定していったことから、城の役割も少なくなり、衰退していきました。
ビザンチン建築の影響を受けた建築様式で、装飾も素晴らしく、宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」のモデルにもなっている他、イギリスのチャールズ皇太子が戴冠式を行ったお城でもあります。現在でも、お城の中に陸軍の博物館があり見学できます。
コンウィ城(Conwy Castle)
コンウィ城は、イギリスの都市コンフィにある城で、1283年ごろ、エドワード1世がウェールズ統治の拠点として築いたといわれています。8つの美しい円塔が特徴です。
イギリスにある城塞の中でも保存状態が良く、ユネスコはコンウィ城を「ヨーロッパにおける13世紀後半から14世紀初頭の軍事建築の最高の例」の1つとして、世界遺産としています。
ハーレフ城(Harlech Castle)
ハーレフ城は、1283年から1289年にかけてウェールズ北西部に位置するスノードニア国立公園の中心に建てられました。1461年からウェールズ軍の反乱の拠点となり、その後イングランド軍に包囲され、イングランドに引き渡されました。海を見下ろす崖の上に立ち、素晴らしい景色を眺めることができます。
現在はコンサート会場や展示会場としても広く使われ、街のシンボルとなっています。
国名 / エリア | イギリス / ヨーロッパ |
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登録年 | 1986年 |
登録基準 | 文化遺産 (i) (iii) (iv) |
備考 | ■関連サイト Castles and Town Walls of King Edward in Gwynedd(UNESCO) |