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概要
シンガポール植物園はシンガポールの中心部に位置します。広さが約63.7ヘクタールと、東京ドームにすると約13個分に相当する広大な敷地面積があります。
園内は、日本ではお目にかかれない熱帯植物の宝庫で、見どころがたくさんあります。中でも世界最大級であるラン園は必見です。市民の憩いの場としても、観光スポットとしても、大変人気があります。
一方で、植物の研究機関としての側面も持ち、シンガポールの発展に重要な役割を果たしました。
この植物園は、建国50周年でもある2015年に、シンガポール初の世界文化遺産として世界遺産に登録されました。
歴史
シンガポール植物園の歴史は、イギリス植民地時代の1822年にシンガポールの建設の父と呼ばれるラッフルズによって、実験植物園が設立されたことに始まります。
ラッフルズはイギリスの植民地行政官で、この植物園は彼が果物、野菜、香辛料などの栽培に関する研究を行うためのものでした。実験的に造られたこの植物園は1829年に閉園。
1859年に農業園芸協会によって現在のシンガポール植物園が設立されました。開園後はイギリスのキュー王立植物園から協力を得て、東南アジアにおける植物研究所として本格的に研究が開始。特にゴムの木やランの研究が積極的に行われます。
10年以上にも及ぶ研究の結果、プランテーションで効率的なゴムの生産技術が開発されました。これこそが、シンガポールの発展につながるものでした。現在でもシンガポール植物園は、科学、研究、植物保存などにおいて重要な拠点になっています。
世界遺産登録の経緯
シンガポール植物園は、イギリスの植民地時代の熱帯植物園が、植物の研究機関としても発展し、近代の世界最高レベルの科学機関にまでなりました。
様々な研究がされる中、特にゴムの研究成果は、ゴムのプランテーション栽培の成功に貢献。ゴムが主要な輸出品になり、大きな経済効果をもたらしたことが高く評価されています。この経済効果は周辺の東南アジア諸国にまで及ぶものでした。
1859年の設立当初、ローレンス・ニーベンによって設計された植物園の景観が、歴史的特徴、植栽、建造物など多様性をふまえており、植物園が発展してきた様子を現在に伝えていることも高く評価され、2015年に世界文化遺産に登録されました。
必見ポイント
シンガポール植物園にはナショナル・オーキッド・ガーデンや、ジンジャー・ガーデンなど見どころがたくさんあります。
ナショナル・オーキッド・ガーデン
3ヘクタールの丘に、なんと約1,000の原種、約2,000の交配種の洋ランが、約6万株も集められている世界最大級のラン園です。それぞれのランの生育環境に合わせて、湿度の高いエリアや、冷涼エリアなどに分けられています。
1番の人気スポットであるVIPオーキッド・ガーデンでは、植物園を訪れた各国の著名人の名前が付けられたランが見られます。サッチャー元首相、ダイアナ妃、ジャッキーチェンなど。日本人では天皇、皇后陛下、氷川きよしなどの名を目にすることができます。
ジンジャー・ガーデン
ジンジャー・ガーデンでは、日本ではめったに見ることのできない、ショウガの花が咲き誇っています。世界の熱帯雨林に広く育つジンジャーの仲間が集められ、約250種類以上ものショウガが栽培されています。美しい花が多く、独特の香りも楽しめます。
ただ、ショウガの花の命は短く、早朝に咲くと昼前にはしぼんでしまうので、午前中に散策するのがおすすめです。
エボリューション・ガーデン
植物は46億年前の地球の誕生とともに進化してきました。エボリューション・ガーデンはその長い歴史をもつ植物たちの現在までの進化を表現した体験型ガーデンです。
植物のない地に苔類やシダ類が生え、ソテツ科の植物が繁殖し、次第に森林へと変化をとげていく過程を歩きながら観賞できるようになっています。
ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデン
ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデンは、光合成や植物を使った染物の展示などもありますが、遊びがメインの場所。大きな木にかかったツリーハウスの滑り台や吊り橋、水場に迷路と、子どもたちが自然の中で楽しく遊べます。