「ローマ帝国の境界線」は、ローマ帝国の繁栄を示す遺跡で、イギリス北部のハドリアヌスの長城とアントニヌスの長城、ドイツのリーメスの合計3カ所が世界遺産に登録されています。
ローマ帝国の境界線を成していた城壁、溝、砦、監視塔などから構成されるこの遺跡は、イギリスの大西洋岸から大陸ヨーロッパを経て黒海へ、さらに紅海、北アフリカを横断して再び大西洋岸へと至り、全長5000㎞以上に及びます。紀元2世紀頃に最大の広さを誇った帝国の広大さがわかります。
ドイツ北西部のライン川から南東部のドナウ川まで延びるリーメスの長城跡は、総延長約550km、紀元前2世紀ごろ、ゲルマン民族の侵入を防ぐ目的で建てられました。イングランド北部、全長約118kmのハドリアヌスの長城は、紀元112年ごろにハドリアヌス帝の命により、ローマ帝国ブリタニア州の最北端に築かれました。その北、スコットランドのアントニヌスの長城は、北部の蛮族に対する防御目的で、紀元142年に着工されました。
これらの遺跡は、ローマ帝国の最盛期における軍事・防衛施設、インフラ、民間建築などの発展をと広まりを示しています。国境線の城壁や砦は難攻不落の障壁ではなく、民間人や商人を含む人々の移動を制御し、許容するものでした。そのため文化的価値の交換が図られ、各地域での建築や景観デザインの多様化と発展がもたらされました。
国名 / エリア | イギリス / ドイツ / ヨーロッパ |
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登録年 | 1987 |
登録基準 | 文化遺産 (ii) (iii) (iv) |
備考 | Frontiers of the Roman Empire(UNESCO) |