トリニダードとロス・インヘニオス渓谷

Trinidad and the Valley de los Ingenios

トリニダードとロス・インヘニオス渓谷の概要

トリニダード
Trinidad by Riccardo Maria Mantero, on Flickr

トリニダードは、キューバ南部に位置する、スペインの植民都市です。18世紀から19世紀にかけて黒人奴隷を使った砂糖産業や奴隷貿易で栄え、今もなお繁栄の面影が残ります。

ロス・インヘニオス渓谷は、トリニダードの郊外12km程に位置し、かつてサトウキビ畑が広がり、製糖工場が多くありました。50軒以上もある製糖工場の跡が残るロス・インヘニオスは「砂糖の谷」とよばれています。

トリニダードとロス・インヘニオス渓谷は、1988年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。

世界遺産登録の経緯

トリニダード
Trinidad by Riccardo Maria Mantero, on Flickr

トリニダードの地にスペイン人が入植しサトウキビを島に持ち込んだ1512年以降、ロス・インヘニオス渓谷には広大なサトウキビ畑のプランテーションが作られていきました。ロス・インヘニオス渓谷は、サン・ルイス、サンタ・ロサ、メイエルという3つの渓谷の総称で、川から水を調達できるほか、気候と土壌もサトウキビの生産に適していたため、18世紀から19世紀にかけて砂糖の生産量は世界一となっていきました。

精製された砂糖を品質劣化させずに出荷するための輸送手段として、1880年代にはトリニダとロス・インヘニオス渓谷、沿岸部を結ぶ専用鉄道も建設されるなど、交通網も充実しました。

最も繁栄していた頃、トリニダードには50以上の製糖工場が稼働、3万人ほどの黒人奴隷がその地で働かされていました。当時スペイン人のプランテーション経営者たちは、アフリカから奴隷を連れて来て、黒人奴隷に砂糖の生産をさせていました。

しかし1820年、スペイン人によって奴隷制度が廃止され、独立戦争が起こると徐々に奴隷の輸入は難しくなっていき、同時に砂糖産業は衰退へと向かっていったのです。

製糖工場は今では廃墟と化していますが、当時の農園主が建てたバロック様式の大邸宅、監視塔、奴隷たちの居住地区などの街並みは無傷のままに存在し、過ぎ去った時代を今に伝えます。

トリニダードとロス・インヘニオス渓谷は人類の歴史上重要な時代を例証する建物物群であり、文化を代表する伝統的集落であるとして、1988年ユネスコの世界文化遺産に登録されました。

観光のポイント

イスナガの塔

イスナガの塔
Torre de Manaca Iznaga by Rafael MedinaFollow, on Flickr

イスナガの塔は、農園主アレス・イスナガが1830年から1835年にかけて建てた、高さ45mの監視塔です。アーチがある7層が積み重なっており、サトウキビプランテーションに働く奴隷たちを監視するために造られました。一時期はキューバで最も高い建物でした。

カンテーロ博物館

カンテーロ博物館
Trinidad, Cuba by serena_tang, on Flickr

サトウキビプランテーションで大富豪になったイスナガ家の豪邸が、コロニアル建築博物館となり一般開放されています。豪華な家具や調度品が飾られており、当時の農園主の優雅な生活の様子が伝わってきます。

マヨール広場(サンティシマ教会)

マヨール広場

マヨール広場はホセ・マルティ広場とも言われ、トリニダードの中心に位置します。かつてはこの地でサトウキビなど農作物や奴隷の売買が行われていました。ヤシの木が繁りフェンスで囲まれた4つの庭園があります。周りにはトリニダード大聖堂やカンテーロ博物館、かつてのブルネート邸を用いたロマン主義博物館など、多くの見どころがあります。

テラコッタの屋根がのった建物群や、石畳の街路、カラフルな建物も見られ、砂糖によって繁栄したころのトリニダの植民都市時代を垣間見ることが出来ます。

国名 / エリア アメリカ大陸 / キューバ
登録年 1988
登録基準 文化遺産 (iv) (v)
備考 ■関連サイト
Trinidad and the Valley de los Ingenios(UNESCO)

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です