「都市遺跡サーマッラー」は、イラク中部のティグリス川沿いに位置する9世紀のイスラム都市の遺構であり、2007年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。サーマッラーは、アッバース朝のカリフ・ムウタスィムによって836年に新都として建設され、約50年間にわたりイスラム帝国の政治・文化の中心地として栄えました。
都市は約57kmにわたって広がり、世界でも有数の大規模なイスラム時代の都市遺跡とされています。特に有名なのが、独特な螺旋状のミナレットを持つグランド・モスク「マルウィヤ・ミナレット」で、その建築様式はイスラム建築史において非常に重要とされています。また、宮殿群や官庁建築、庭園、運河なども発掘され、当時の都市計画の高度さや建築技術の進歩を物語っています。
サーマッラーはまた、初期イスラム建築における実験的な試みが数多く行われた場であり、後世のイスラム都市に影響を与えました。現代では住民の少ない地域に位置しているため、保存状態が比較的良好で、学術的価値が高い遺跡となっています。都市遺跡サーマッラーは、イスラム文明の黄金時代を今に伝える貴重な証です。
国名 / エリア | アジア / イラク |
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登録年 | 2007年 |
登録基準 | 文化遺産 (ii) (iii) (iv) |
備考 | 危機遺産 2007年~ ■関連サイト Samarra Archaeological City(UNESCO) |