エリトリアの首都アスマラは、20世紀初頭から中頃にかけて形成された独自の都市景観を持つ都市で、「アスマラ: アフリカの近代主義都市」として2017年にユネスコ世界文化遺産に登録された。イタリアの植民地支配下(1890~1941年)において、アスマラは「リトル・ローマ」と呼ばれ、最新の都市計画と建築実験の場となった。
整然とした街路や広場、官庁街、住宅地が体系的に配置され、アール・デコ、未来派、理性主義、モダニズムなど多様な建築様式が見事に融合しているのが特徴である。代表的な建築には、航空機の形をした「フィアット・タリス・サービスステーション」や、流線形デザインが印象的な「イムペロ・シネマ」などがあり、当時のヨーロッパ建築の先端的潮流をアフリカの文脈に取り入れた例として知られる。さらに、戦後も大規模な改変を受けず、植民地期の都市構造と建築群が良好に保存されている点が高く評価された。
アスマラは、植民地支配と近代化、そしてアフリカ都市の自立という複雑な歴史を映し出す場所であり、アフリカにおける近代都市計画の到達点として今日も国際的な注目を集めている。




| 国名 / エリア | アフリカ / エリトリア |
|---|---|
| 登録年 | 2017 |
| 登録基準 | 文化遺産 (ii) (iv) |
| 備考 | ■関連サイト Asmara: A Modernist African City(UNESCO) |
