Table of Contents
シェーンブルン宮殿と庭園群の概要
シェーンブルン宮殿と庭園群は、オーストリアの首都ウィーンに位置するシェーンブルンに、神聖ローマ皇帝により1696年に建てられた宮殿と、庭園群です。マリア・テレジア以降はハプスブルグ家の夏の離宮としてよく利用され、ハプスブルグ家の持つ宮殿の中でも最大の規模を誇ります。庭園群は東西約1.2km、南北約1kmの広大なフラン式庭園であり、オーストリアを代表する名園です。1996年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録の経緯
シェーンブルン宮殿は、神聖ローマ皇帝レオポルド1世が、バロックの巨匠・フィッシャー・フォン・エルラッハに命じて、フランスのベルサイユ宮殿に勝る宮殿を目指して計画されました。財政上の理由から、大幅に縮小され建築されましたが、その後、ローマ皇帝レオポルド1世の孫にあたるマリア・テレジアにより、1743年以降フィッシャー・フォン・エルラッハの計画を基に大規模の増改築が行われました。
シェーンブルン宮殿は、幅約175m、奥行き55mのバロック様式の重厚な雰囲気を持つ外観に、内部は優雅なロココ調で統一しています。1441室もの部屋があり、そこでは約1000人もの使用人が住んでいました。
公開されている部屋は最も重要な40室で、その中には、幼いモーツァルトがマリア・テレジアの前で御前演奏し、マリー・アントワネットに求婚したとされる「鏡の間」や、ウィーン会議の舞踏会の会場として知られる「グローセ・ギャラリー」があります。
他にもナポレオンが使用した部屋や、ハプスブルク家が歴史に幕をとじた、カール1世が退位宣言をした部屋など、数多くの貴重な部屋が残されており、ハプスブルグ家の栄華や、ウィーンの王宮文化を今に伝えます。
ピンク色であった建物の外壁は金色に近い黄色が塗られ、その色をウィーンの人々は親しみを込めて「マリア・テレジア・イエロー」と呼びます。
庭園群は、フランス式の広大な庭園で、神聖ローマ帝国皇帝フランツ1世がマリア・テレジアのために造ったと言われる世界最古の動物園や、皇帝馬車を展示する馬車博物館などがあります。日本人の庭師に枯山水を造らせた日本庭園や、ネプチューンの噴水、幾何学的配置の花壇や芝生、大温室などもあり、1779年頃から公開されました。
シェーンブルン宮殿と庭園群は、人類の創造的才能を表現する傑作であり、人類の歴史上重大な時代を例証する建築様式、建物群であり、景観であるとして1996年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
観光のポイント
グロリエッテ
シェーンブルン宮殿の庭園の小高い丘の上に建つグロリエッテ。宮殿・庭園から高さ60mから庭園を見下ろす「賛美の神殿」として設計され、対プロイセン戦の勝利と戦没者の慰霊のため、1775年に建てられました。
建物の全長84.3m、両脇の階段を含めて135.3m、幅14.6m、高さ25.95mとなっており、庭園の中でも最も人目を引く建物です。
マリア・テレジアがよくコーヒーを楽しんだ場所ともいわれるグロリエッテの屋上テラスからは、ウィーンの景色が一望できる素晴らしい眺望が楽しめます。
国名 / エリア | オーストリア / ヨーロッパ |
---|---|
登録年 | 1996 |
登録基準 | 文化遺産 (i) (iv) |
備考 | ■関連サイト Palace and Gardens of Schönbrunn(UNESCO) |