「ラホールの城塞とシャーリマール庭園」は、パキスタンのラホール市に位置する世界遺産で、ムガル帝国の歴史と文化を色濃く反映する貴重な遺産群です。この遺産群は、ラホールの城塞とシャーリマール庭園という二つの主要な要素から成り立っています。2004年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ラホールの城塞は、16世紀にムガル帝国のアクバル帝によって築かれ、後にシャー・ジャハーン帝やアウラングゼーブ帝などによって拡張・改修が行われました。城塞内には豪華な宮殿やモスク、庭園、さらには戦略的な防御施設が立ち並び、ムガル建築の粋が集められています。特に「シシ・マハール(鏡の宮殿)」や「ディワニ・アーム(王の公務室)」は、その美しさと精緻さで有名です。ラホール城塞は、軍事的な要塞としての機能を持ちながらも、ムガル王朝の栄華を象徴する華麗な建物群としての側面も持ち合わせています。
シャーリマール庭園は、17世紀のシャー・ジャハーン帝によって作られ、ムガル建築の庭園デザインの中でも傑作とされています。庭園は、イスラム教の伝統的な「楽園のイメージ」を反映し、整然とした水路や噴水、池が特徴です。庭園内は四つの区画に分かれ、各区画には美しい花々や果樹が植えられ、ムガル帝国の繁栄と洗練された美学を象徴しています。特に、庭園内の「四季の池」や「水の噴水」は、優れた水利技術と景観設計を示すものとして評価されています。
両者は、ムガル帝国の文化的・芸術的な成就を物語る重要な遺産であり、インドとパキスタンの歴史に深い影響を与えました。また、ムガル建築の精緻さや美学、さらには都市設計や庭園技術の発展を示す貴重な証拠となっています。現在でも多くの観光客が訪れ、ムガル帝国の栄華を感じることができる場所として広く知られています。
国名 / エリア | アジア / パキスタン |
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登録年 | 1981年 |
登録基準 | 文化遺産 (i) (ii) (iii) |
備考 | ■関連サイト Fort and Shalamar Gardens in Lahore(UNESCO) 危機遺産 |