ティグロヴァヤ・バルカ自然保護区は、タジキスタン南西部、アフガニスタンとの国境近くに位置します。中央アジア最大のアムダリヤ川の上流域に広がり、乾燥地帯でありながら洪水と地下水によって木々が生い茂るトゥガイの森、砂漠、湿地、草原など多様な自然環境が見られます。特にアジアポプラを中心とした原生のトゥガイ森林が広がり、その面積は約2万4,000ヘクタールと中央アジア最大規模を誇ります。
この地域は、砂漠と河川林が共存する独特の生態系が発達しており、長い年月をかけて進化を続けてきた生物群集の過程を示す顕著な例です。塩性土壌に適応した植物のほか、タシケントアカシカやシマハイエナなど多様な動物が生息しています。トゥガイ森林がこれほど原始的な状態で広範囲に残るのは世界でもここだけであり、生態系の連続的な変化と適応の姿を伝える貴重な地域です。