コートジボワール北部の村々に点在する8つのモスクは、西アフリカのサバナ地帯で発達したスーダン様式を今に伝える貴重な建築群です。これらは14世紀以降、サハラ地域から森林地帯へと進んだ人々の移動と交易拡大の歴史を示しており、イスラーム文化の受容と在地文化の融合を読み取ることができます。
現存するモスクの多くは17~19世紀に築かれ、日干し煉瓦による厚い壁、外壁に突き出す丸太のはしご状支柱、通気と採光を兼ねた小開口、切頭ピラミッド形の高いミナレット、円錐形のキブラ塔など独特の造形が見られます。これらの建物は、気候に適応した土造建築の高度な技術と、商人がもたらしたイスラーム建築の理念が調和した顕著な例であり、地域社会の礼拝空間として今も守られています。
