サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産

From the Great Saltworks of Salins-les-Bains to the Royal Saltworks of Arc-et-Senans, the Production of Open-pan Salt

サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産
Photo by Olive Titus on Flickr

サラン・レ・バンの大塩製所の概要

サラン=レ=バンの大製塩所
Photo by Esther Westerveld on Flickr

スイスとの国境近くにある「サラン・レ・バン」という町では、新石器時代から塩の採掘が行われていました。8世紀ごろに造られた製塩所では、地下水を汲み上げ、釜で煮詰めて塩を作り、町を繁栄してきました。

18世紀には食糧の保存などに塩が用いられ、1680年にルイ14世の塩税王令によって王立の塩倉から一定量の塩の購入を義務付けられたことにより需要が増大。製塩作業には釜で燃やすための木材が必要でしたが、木材が枯渇するという問題が起こりました。そこで、アル・ケ・スナンに製塩所を建築し、塩水を導水路で結ぶ計画が立てられました。

アル・ケ・スナンの王立製塩生産所の概要

アル=ケ=スナンの王立製塩所
Photo by Olive Titus on Flickr

アル・ケ・スナンの王立製塩生産所は、ルイ15世の依頼を受けクロード・ニコラ・ルドゥが設計しまし、1775年に建設が始まりました。もともとは「アルク」と「スナン」という二つの村からなっていた場所で、ここには広大な国立の森「ショーの森」があることで、薪の調達をしやすかったため建設場所として選ばれました。

設計は製塩所だけではなく、病院や聖堂、浴場や研究所などを併設した工業都市として直径370mの円形に建設されることが計画されて着工しました。円形に配置することで労働組織の効率化を目指しましたが、製塩所の経営悪化による資金難などにより工事が中断され円弧状になっています。

従業員のほとんどは敷地内に住んでおり、所長の家、厩舎、塩を抽出する作業所、労働者の住居などが建てられました。円周の直径は248mで、中心の建物からは全てが見渡せることから、作業の進み具合を把握することができ、作業員を監視していたとされています。

歴史と世界遺産登録の経緯

アル=ケ=スナン
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1962年にサラン・レ・バンの大製塩所が閉鎖されるまで製塩は続き、1966年以降に市有財産として登録されました。その後、中世からの製塩方法や産業建築の歴史を伝えるため、2009年に世界文化遺産として登録されました。

一方のアル・ケ・スナンの王立製塩生産所は、クロード・ニコラ・ルドゥが理想都市として設計し、その計画性が評価され、1982年にアル・ケ・スナンの王立製塩生産所が単独で世界文化遺産に登録されました。サラン・レ・バンの大塩製所は、アル・ケ・スナンの王立製塩生産所に拡大登録されたことによって、現在の「サラン・レ・バンの大製塩所からアル・ケ・スナンの王立製塩生産所」という名称になりました。

観光スポット

アル=ケ=スナンの王立製塩所 監督官の邸宅(左)と製塩工場
Photo by Romain DECKER on Flickr

アル・ケ・スナンの王立製塩生産所は現在、博物館や資料館などの観光施設となっています。その中でも設計者であるクロード・ニコラ・ルドゥの博物館は、ヨーロッパで唯一建築家に特化した博物館となっており、建築計画の模型を見ることができる必見スポットです。また、当時の住居は現在ホテルとして開放されているので宿泊することもできます。


国名 / エリア フランス / ヨーロッパ
登録年 登録年1982年、拡張年2009年
登録基準 文化遺産 (i) (ii) (iv)
備考 ■関連サイト
From the Great Saltworks of Salins-les-Bains to the Royal Saltworks of Arc-et-Senans, the Production of Open-pan Salt(UNESCO)

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