メテオラ

Meteora

概要

メテオラとは、ギリシャ北西部のテッサリア地方にある奇岩群上に建設された修道院の総称。ギリシャ語で「宙に浮いている」という意味を持つ「メテオロス」が由来です。

9世紀ごろから、ギリシャ正教の修道士らが生活していました。もともとは麓や洞窟で生活していましたが、14世紀に本格的な修道院の建設が開始。24の修道院が建てられ、6つの修道院は現在も活動中です。1988年に複合遺産として世界遺産に登録されました。

歴史

メテオラ

もともとは海底だったとされるメテオラは、約6000万年前に大地が隆起して作り上げられました。地震や河川の侵食によって奇岩が作られ、その大きさは20m〜400mほどあります。

9世紀ごろにギリシャ正教の修道士らが下界との関わりを経ち、山奥で神に祈りを捧げる目的でメテオラに住み始めました。もともとは隠者(いんじゃ)として洞穴や岩の割れ目に住み着いていましたが、14世紀にオスマン帝国の海賊から追われた修道士らが、アトス山から移り住みました。また、テッサリア地方に侵入してきたセルビア人との戦乱から逃れるために、メテオラへ移り住み共同生活を始めます。

1356年に聖アサナシオスがアトス山から移住し、最初の修道院となるメタモルフォシス修道院を建設。これをきっかけとして14世紀〜16世紀に本格的な修道院の建設が始まり、全部で24の修道院が建設されました。15世紀以降からメタモルフォシス修道院が全修道院を統括するようになり、メガロ・メテオロン修道院と呼ばれるようになります。

自然の力で作り上げられた奇岩の数々は、他では見られない自然景観であり、アクセスが困難な岩山の山頂に築かれた修道院と、16世紀のフレスコ画はビサンティン美術の発展に重要な役割を果たしていることなど、この地の地形やギリシャ正教の修道院文化などの価値が評価され、世界文化・自然複合遺産として登録されました。

見どころ

およそ6000万年前に形成された巨大な岩の頂に築かれている修道院には、現在でも多くの修道士が祈りを捧げています。修道士の生活を垣間見ることができ、今も残されているビサンティン様式の壁画や博物館など、見どころが満載です。

修道院を見学する際、露出の多い服装は禁止されているため、上着など羽織れるものを持参すると良いでしょう。また、女性はズボンでの入場が禁止されています。ズボンの場合は入口で布を貸し出してくれるので、腰に巻いて入場するようにしましょう。修道院内の写真撮影は禁止されているので注意してください。

メガロ・メテオロン修道院(メタモルフォシス修道院)

メガロ・メテオロン修道院

メテオラにある修道院の中で、最初に建てられた修道院。標高は616mであり、メテオラで最も大きい修道院です。アサナシオスによって創設され、1388年に後継者のイオアサフが主聖堂を建設しました。昔は食堂として使用されていた場所が、現在は博物館として公開されており、当時の生活を感じることができます。また、聖堂内に飾られている色鮮やかなフレスコ画や、庭園から一望できるメテオラの街並みも必見ポイントです。

アギオス・ニコラオス修道院

アギオス・ニコラオス修道院

14世紀に聖ディオニシオスによって創建されたという説と、アナパウサスによって創建されたという説があります。内部はクレタ島出身の画家であるテオファネスが、1527年に描いたフレスコ画で埋め尽くされています。クレタ様式の創始者とされるテオファネスの作品は必見です。

アギオス・ステファノス修道院

アギオス・ステファノス修道院

1367年に創建された修道院で、1961年から女子修道院となっています。聖ステファノス聖堂と聖ハラランボス聖堂があり、聖ハラランボスの聖遺物が安置されています。元食堂だった場所に展示室が作られ、イコンと呼ばれる聖者たちの礼拝用画像や写本などが展示されており、貴重な展示を見ることができるでしょう。

ヴァルラーム修道院

ヴァルラーム修道院

14世紀ごろヴァルラームという隠者が居住していた小さな教会に、セオファニスとネクタリオスという兄弟の修道士が修道院を再建しました。修道院の内部は、1548年にフランゴス・カテラノスによって描かれたフレスコ画によって埋め尽くされており、圧巻です。当時、物資の運搬などに使われていた滑車とロープが残っており、現在でも使用されています。

ルサヌー修道院

ルサヌー修道院

1288年にビザンティン様式の教会が建設され、その後1545年に修道院として改修。1950年以降は女子修道院として使われています。内部にはクレタ派の画家、テオファネスが描いたフレスコ画「キリストの変容」があり、必見です。メテオラ観光の拠点「カランバカ」から最も訪れやすい修道院です。

アギア・トリアダ修道院

アギア・トリアダ修道院

14世紀に修道士ドメティウスによって建設され、至聖三者に捧げられた主聖堂と、洗礼者ヨハネの教会があります。標高565mの岩山に建設され、1925年に作られた140段の階段を使って行くことができます。メテオラ修道院の中でも断崖絶壁の場所に建てられていることから、「天空の修道院」とも呼ばれています。


国名 / エリア ギリシャ / ヨーロッパ
登録年 1988
登録基準 複合遺産 (i) (ii) (iv) (v) (vii)
備考 ■関連サイト
Meteora(UNESCO)

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