ギリシャのデロス島は、エーゲ海の中心にある小さな岩だらけの島ですが、古代ギリシャ文化では「すべての島の中で最も神聖な島」と考えられていました。伝説によると、昼の光を司る太陽神アポロンと、その双子の妹で夜の光を司る月の女神アルテミスが生まれたのもこの島です。
デロス島には紀元前3千年紀に人が住み始め、以来エーゲ海世界の文明のユニークな証拠を伝えています。少なくとも紀元前9世紀以降に設立されたアポロンの聖域は、古代ギリシャの特色を獲得した古典期にその栄華の頂点に達しました。中でも紀元前5世紀から前3世紀にかけて建てられたアポロン神殿、紀元前2世紀のアルテミス神殿が有名です。紀元前167年以降、デロス島が自由港として宣言された結果、東地中海のすべての商業活動がこの島に集中し、やがて世界交易の中心として栄えました。世界中から裕福な商人、金融業者、船主がデロス島に定住し、多くの建築家、芸術家、職人を惹きつけ、フレスコ画やモザイクの床で豪華に飾られた豪華な邸宅などの建築が生まれたとされています。